呉茱萸は、ミカン科ゴシュユの未成熟な果実を乾燥させたものです。
スパイシーな強い香りは、好き嫌いが分かれやすいですが、冷えている人は案外平気なことが多いです。
呉茱萸の効能
味は辛・苦で、熱の性質を持ちます。
○散寒止痛
液体は一般的に、温度が下がると固まります。
寒さにさらされ続けると、体内の水・血も流れにくくなり、
筋肉がこわばったり、痛みの元になったり、生理が遅れたり・・・
呉茱萸は、熱と発散力で、凍り付いている固まりを散らし、巡りを回復させていきます。
特に五臓の「肝」、気血の流れを調節する場所に働きかけます。
「肝」を温め、末端への血流、月経周期、筋肉の動き、などをほぐして整えていきます。
○下気止嘔
呉茱萸には、気を下に降ろす働きがあります。
胃が冷え切って、吐き気がある、つばがあふれる、など、上へ逆流してくる症状を抑えます。
この働きは、「引経薬」としても役立ちます。
他の生薬の作用を「下方向」へ引っ張って、そこで効果を発揮させたい時に便利です。
呉茱萸を含む漢方処方
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯:手足の冷え・しもやけ・下腹部から内ももの冷え痛みに。
・呉茱萸湯:冷えから来る胃痛・嘔吐・頭頂や側頭部の痛みに。
・温経湯:冷えと血不足による生理不順・生理痛などに。
・鶏鳴散加茯苓:足元の水分の滞りによる冷え・しびれ・むくみに。