セリ科ミシマサイコの根を乾燥させたものを用います。
柴胡といえば「疏肝解鬱」の代表生薬です。
気・血・水の流れを調節する役割を担う「肝」を、のびやかに整える作用を持ちます。
□柴胡を含む漢方薬
柴胡が主薬となる漢方は「柴胡剤」と言われ、多くは黄芩とセットで用いられます。
大柴胡湯、小柴胡湯、柴朴湯、柴苓湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、四逆散、柴胡桂枝湯、加味逍遥散・・・
など、よく使われる漢方薬が沢山あります。
柴胡剤と言われるもの以外にも、柴胡を使う漢方は多いです。
補中益気湯、荊芥連翹湯、十味敗毒湯、乙字湯、竹茹温胆湯・・・
□少陽病には柴胡剤
中国医学の古典「傷寒論」では、風邪の症状の移り変わりを6つのステージに分けて治療法を述べていますが、その中の「少陽病」のステージに効果的な漢方として挙げられているのが、柴胡剤です。
風邪の引き始めに邪気(体に悪さを及ぼす勢力、風、寒など)を打ち返す力が十分になければ、邪気が体内に入り込んできます。
初期の寒気や発熱といった体表面の症状から、口渇や食欲不振、繰り返す熱感と寒気、上腹部の張り…など、体の内側の症状が出てくると少陽病です。
つまり、風邪をこじらせた時期です。
この時期に柴胡剤を使うと、体の内側で留まっている邪気をうまく調和させ、症状を取り除いてくれます。
□ストレスからの不調にも柴胡剤
柴胡剤を使うのは風邪だけではありません。ストレスの多い現代社会ではとても重宝される漢方です。
「気」は、心の安定にも体の活動にも重要なエネルギーです。
ストレスや気が張った状態が続いたり、常に気を遣って我慢していると、「肝」は凝り固まり「気」が隅々まで行き届かなくなって、本来の働きが出来なくなります。
イライラ、抑うつ、頭痛、不眠、肌荒れ、生理不順、末端の冷え・・・など、様々な不調を招きます。
また、「気」は鬱滞すると熱を帯びてきます。熱が伝搬して、胃へ伝われば胃痛… 肺へ伝われば咳…
どちらもストレスで起こる代表的な症状です。
この「肝」の鬱結をほぐして「気」をスムーズに流してくれるのが、柴胡です。
□病は気から
昔から「病は気から」と言われます。
イライラ、うつうつ、もやもや…精神的な負担があると、気の流れが滞り身体の不調につながります。
最近ちょっと気持ちが不安定だな、疲れているな。と思ったら、「肝」が鬱結する前に、運動したりお出かけしたり、好きな事をしてほぐしてあげましょう。