症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

夏風邪には葛根湯より小柴胡湯!

エアコンと夏風邪

今の時期はエアコンをつけっぱなしで体が冷えて、夏風邪を引いてしまうという方が増えているようです。

熱中症にならない工夫、でも風邪をひかないように。難しいですね、人間の体をコントロールするのは。

葛根湯は夏風邪には不向き

風邪というとまず思い浮かぶ漢方薬は葛根湯。しかし葛根湯は夏風邪には向きません。

葛根湯というのは、中医学的に言うと、辛温解表剤といい、辛いもので、体を温め、悪いもの(邪気と言います)を発散させる漢方薬です。

したがって、寒い冬には体を温め、発汗させて邪気を体の外へ追い出すことは大変有効になります。

しかしながら、夏は体外も熱い!したがって、常に汗が出やすくなっている状態のため、汗を促すことになると余計に汗をかきすぎてしまって、体力が奪われることになります。

また、いくら汗で邪気を発散しようと思っても、体外も熱いため、発散しきれない。という状態も起こってきます。したがって、葛根湯では夏風邪には対処しきれないという事になります。

夏風邪には小柴胡湯と梅干し

その時に活躍するのが、「小柴胡湯」です。小柴胡湯は漢方の分類でいうと「和解剤」という分類になります。

和解剤というのは、まさに戦いをして追い出したりやつけたりするのではなく、握手をして、悪さをしないように懐柔策を取って、発症しないようにして、知らぬ間に邪気がなくなるようにする漢方です。

和解剤にも様々あるのですが、冬の風邪で長引いているときにはこの和解剤の種類の柴胡桂枝湯を使います。

この漢方は、発散させる桂枝も入っているので、ちょっとだけ発散させながら、懐柔策もとる漢方で、非常に便利な漢方でもあります。しかしながら、夏風邪は、全面的に懐柔策を取るのが賢明。

ここが漢方独特の考え方の「同病異治」同じ病気(風邪)でも全く違う漢方を使うという事の真骨頂ですね。

そして、何より十分な睡眠をとって休養すること。それと、熱中症にならない対策を。夏風邪の時は、梅干しや、塩味を効かしたおかゆがいいでしょう。