症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/07/12 (月)

私たちにとって大切な潤い

まず中医学では、人の身体は「気・血・津液(水)・精」で構成されていると考えます。

気または陽気

下の5つの作用をもつエネルギーが「気(陽気)」です。
・血液や水分などを巡らせたり、臓腑を働かせる
・外から身体に悪いものが入るのを防ぐ
・身体を温める
・血・津液・精や、汗や尿などを生成する
・汗や尿の排泄を制御したり、血が漏れ出ないように防いだり、臓腑を一定の場所にとどめる

血(けつ)

身体を流れる血液そのものはもちろん、脳、目、筋肉などあらゆる器官の栄養や潤いでもあり、情緒などの精神活動やホルモンにも関係するのが「血」です。

津液(しんえき)または水(すい)

体内の正常な水分である、体液や汗、涙、唾液、鼻水、尿、リンパ液などが「津液」です。「水」ともいいます。

精(せい)

漢方特有の概念で、すべての人が生まれながらに持っている生命エネルギーの源を「精」といいます。とくに加齢や過労で消耗していくものです。

潤い成分「陰液(いんえき)」とは

上記のうち、「血・津液・精」を合わせて「陰液(いんえき)」といいます。
これら三つは全く別のものとして切り離すことはできません。
例えば汗や尿が血液の中の毒素を出しているように「津液」は「血」の一部であり、また「血」と「精」は互換し合う性質を持っています。
三つを合わせた「陰液」は、心と身体が正常に機能するための栄養や潤いの素となり、特に女性においては、生理や妊娠・出産という場面で大きく関係します。
また陰液は、私たちが毎日口にしている食べ物や飲み物から作られ、そして夜間、睡眠中に解毒が行われることによりきれいな陰液が補充されます。

「気」の関わり

「気」も陰液と同様に、食べ物や飲み物から作られます。また太陽光や呼吸からも補充しています。
「気」は「血・津液・精」を導き動かす船頭のような役割がある為、「気」が整い、身体の隅々まで巡ってくれて初めて、心身が潤い成分「陰液」で満たされていきます。
“元気”“気力”がある方がお肌もピンっとハリがあるのは、「気」が十分に巡ることでたるみや内臓下垂を防いでいるのです。

 

では、「気」「陰液」の状態によって実際に私たちにどのような影響があるのか、チェックしながらご覧ください。

➤【潤いに満ちた、心と身体】
➤【潤い不足な、心と身体】