症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2024/07/16 (火)

【 未病を治す~養生法~ 】

~心~
最も重要なのは、心の在り方。生きる上での考え方、物事の捉え方とも言えます。

東洋医学の古典『黄帝内経』では、
「心を穏やかに、安らかに保つことで、病を防ぐことができますよ」と書かれています。


「心身一如(しんしんいちじょ)」という言葉もあります。
「心と身体はひとつで繋がっていて、お互いに影響し合う」ということ。

くよくよしているとお腹の調子が悪くなったり、イライラしていると血圧が上がったり。
「病になっても病気になるな」
まずは心を元気にしましょう、と教えてくれています。


心を元気に、穏やかに保つ助けになる考え方として、「天人合一」「陰陽平衡」という言葉も。
 
「天人合一(てんじんごういつ)」
人間も自然界の一部であり、自然とともに生きています。
自然は進化と発展のベクトルを持っていて、プラスのエネルギーを持っています。

私たち人間も、20代さかのぼれば100万人、30代さかのぼれば10億人、綿々とした命の繋がりがあって、今を生きている。強く、前向きな力を持っています。

したがって、マイナスに傾くと病気になり、絶対的にプラスの心を持つことで、病気は良くなるのです。
 
「陰陽平衡(いんようへいこう)」
万物には陰陽の性質があり、その陰と陽のバランスを保とうと働く法則があります。

バランスはシーソーのように常に変化していて、例えて言うなら、良い時もあれば悪い時もある。

だから、絶対的に健康な状態は存在せず、季節の変わり目に調子が悪くなってもクヨクヨする必要はありません。いずれ良くなると前向きに考えることが大切です。
~食事~
次に大切なのは、食事。
毎日の積み重ねで、私たちの心身を作る源となっています。

ポイントは次の4つ。

1)「主に人を良くする」主食を6-7割に。蒔けば芽が出る玄米、もしくは雑穀米がベスト。
2)一物全体(いちもつぜんたい)。食材は丸ごと食べるのが、栄養バランスもエネルギーも最適。
3)身土不二(しんどふじ)。地元で採れた旬の食材が、栄養価もエネルギーも最適。
4)陰陽バランス。食材の性質(温める、冷やす)が極端に偏らないように摂る。

献立を考えるとき、外食でメニューを選ぶときなど、参考にしてみてください。
~運動~
人間も動物。やはり運動も欠かせません。
とはいっても、大袈裟なことはしなくて大丈夫。
毎日少しずつ、無理なく、普段の暮らしの中でできることが一番です。

取り入れやすく続けやすい例はこちら↓

1)呼吸(クンバハカ法)。長く息を吐き、深く息を吸う。朝起きた時や夜寝る時、気付いた時に。
2)養動法。お腹を時計回りに回して、腸の動きを正常化。
3)歩く、もも上げ、スクワット、かかと落とし。通勤がてら、歯磨きしながら、テレビを見ながら習慣に。




この他、
*夜は早めに寝る、疲れを感じたら休む、ボーっとするなど、適切な休養をとること
*湿度や気温を適度に保つ、気温に合わせた服装をする、空間や身だしなみを清潔に保つなど、環境を整えること
なども、未病を治すことに繋がります。
 
なーんだ、そんなこと。当たり前のことだね。
と感じる方もいらっしゃると思いますが、
実際には、この“当たり前”を続けることが意外と難しい…と感じるのが正直なところ。

できない時もあるけれど、できそうな時はやってみて、しばらく続けてみる。
三日坊主をちょこちょこ続けてみる。
気付いたとき、気になったときに意識してみる。

そのような心持ちで、気長に、大らかに、ゆるゆると楽しむのがオススメです。
“心が元気でいること”を一番に♪