症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2022/08/24 (水)

35歳以上の自然妊娠 ~「腎」を補い、前向きな心で生活習慣を改善!~

お身体の冷えに健康茶をお求めになっていた、とても明るい笑顔が素敵な女性のお客様。

ある日店頭のチラシを手に取られ、
「漢方は妊活にもいいですか?」とお尋ねくださったことからご相談が始まりました。
―笑顔の陰に努力あり―
4年前にご結婚され、ご来店時35歳。
2年前まではご夫婦でタイミングをとられていましたが授からず、年が明けて病院へ。
ホルモン治療で排卵を促しながらタイミングをとる方法を5か月間、その後、ホルモン治療と人工授精でさらに約半年間頑張られていました。

お仕事は日勤と夜勤で泊まりもあり、精神的にも肉体的にもハードなご様子。
そのような生活に加え、年齢的なことやホルモン治療をされている経過から、「腎」にかかる負担が大きく、栄養分となる「血」をかなり消耗している状態だと考えられました。


漢方の考えでは、赤ちゃんは「栄養たっぷりの血の集まり」。
生命力の源であり妊娠の要となる「腎」の働きで、栄養たっぷりな「血」やエネルギー「気」から新しい命を宿します。


妊娠しやすい体づくりのためにも、まずはご自身の土台を固めることから!ということで、
腎の働きを補い、血をしっかり補充し巡らせる煎じ薬と、土台固めの漢方でスタートしました。
―漢方をきっかけに生活を見直し!―
ただ、
ホルモン治療を1年間続けられ、卵巣や子宮も疲れているのでは?
漢方を始めるだけではなく、一度根本からしっかりとお身体を整える方法を考えた方が良いのでは?

ご相談後に改めてお客様の状況について考えを巡らせ、
次回はホルモン治療についてのお気持ちをお尋ねしようと思っていました。


すると1ヶ月後のご来店時、ご本人様から
「せっかく漢方薬を飲むのだから、しっかり身体を整えていこうと思い、ホルモン治療はお休みにしました。」と。
さらにお仕事も日勤のみの部署へ異動させて頂いたとのことで、お子様への強い想いと「やれるだけのことはやろう」という決意を感じ、そのお気持ちになんとしてもお応えしたいと私自身奮い立ちました。

そして、その日からダイエットも併せてスタートすることに。
子宮にたっぷり栄養がめぐるように、1年間で急激に増えていた体重を減らすのが目標。
食事は雑穀米と野菜中心にし、ウォーキングも頑張られました。
その結果、スタート当初から1ヶ月で体重-約2kg、体脂肪率-約2%!
空腹感も楽しめるようになり、間食も控えられるようになりました。

お身体が軽くなられたと実感されていましたが、お気持ちもさらに前向きになられたご様子。
ウォーキングに加え、自転車通勤から徒歩通勤にしたり、ご自宅ではもも上げを100~130回まで増やして取り組まれるなど、常に意欲的に楽しまれていました。


食事は気血を作り出す材料であり、赤ちゃんを宿す栄養源。
そして足腰を動かす運動は、子宮周りのめぐりを良くしてくれます。
さらに「楽しい」という前向きな感情も、気血のめぐりを良くしてくれます。

これまでの生活を見直し、それを楽しみながら取り組まれたことも、きっと妊娠しやすいお身体へプラスに繋がったのだろうと振り返ります。
―ご夫婦で気持ちをひとつにし、ついに…―
4ヶ月後にはご主人様も初めて一緒にご来店。
奥様の頑張りや想いを初めてお聴きになり、
ご主人様もお子様を授かるために自分のお身体を整えたいと、腎をサポートする漢方を始めました。


そして、ご夫婦でお気持ちがひとつになったこともあってか、
その数週間後…、
ついに妊娠されました!
「やれるだけのことはやろう」という思いが環境を変え、ご自身のお身体を変えていったのだと思います。
何より前向きな姿勢、気持ちに強さを感じました。


明るい笑顔が素敵な奥様。
でもホルモン治療でうまくいかなかった時期、笑顔の裏では辛く、悔しい思いをされていました。
その時、ご主人様に当たってしまうことがあったけれど、ご主人様は全部聞いてくれたそうです。
奥様のストレスが少しでも軽くなるようにとの、ご主人様の優しさを感じました。


ご夫婦の絆を感じ嬉しくなるとともに、
強く前向きな想いによって引き出される、人の持つ授かる力の偉大さを感じ、
私自身も勇気づけられた気がします。
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