症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/10/14 (木)

汗かき

漢方で汗とは?
汗血同源・汗は心の液
漢方では「汗」というものを非常に重要視しています。

例えば、筋肉を温め潤し、皮膚を健康に潤しているのは、汗液の為すところです。
その「汗液」は津液(水分)の一部。
また、津液は血の一部でもあることから、「汗血同源」といわれています。
さらに、血は血脈を主る「心」に属しているので、「汗は心液なり」ともいわれます。


大量に汗をかくことは、津液、血液を損なうことになります。

例えば急激に津液を失うと、直接 筋肉に影響し、痙攣を引き起こすことがあります。(よくスポーツ選手にみられます。)

そのため、女性に多い「血不足」タイプの方が大量発汗すると、さらに体内のバランスを大きく崩すことに。
そういう方が、流行りのホットヨガやサウナなどを日常的に行うのはあまりおすすめできません。
 
漢方的な多汗の原因と対処法
衛気虚
体の表面を守ってくれている「気」を「衛気(えき)」といいます。
この衛気には、主に2つの作用があります。

● 防御作用:ウイルスや細菌、寒さ暑さから身を守る作用。
● 固摂作用:体の必要なものが漏れ出さないよう守る作用。毛穴の開け閉めも行う。


衛気が不足すると、汗が漏れだすように出てきます。
その他、風邪を引きやすく、長引く傾向にあります。
代表的な漢方薬
補中益気湯、人参養栄湯、防己黄耆湯、八味地黄丸など
 
営衛不和
「営気(えいき)」と「衛気」の、陰陽のバランスが崩れた状態です。

「営気」:全身を滋養し潤す作用のある気
「衛気」:防御機能や体温調節機能などを行う気
これらはお互いのバランスが取れてはじめて機能します。


汗腺の開け閉めなどもこのバランスが重要になり、乱れると悪寒がしたり、蕁麻疹が出たりすることもあります。
代表的な漢方薬
桂枝湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、桂枝加黄耆湯など
 
陰虚火旺
体の水分や血が不足すると、陰陽のバランスが崩れ、「陰虚」という状態になります。

そうすると相対的に「陽」が多くなってしまうため、体にくすぶった「虚火」が生じます。
この虚火の熱が体の水分を体外へ押し出すため、汗が出ます。


昼間陽気が体表面を巡っているのに対して、夜間寝ている間は陽気は内をめぐるため、夜間は熱がこもりやすくなり、寝汗(盗汗)が出やすくなります。
代表的な漢方薬
三物黄芩湯、滋陰降火湯、知柏地黄丸、六味地黄丸、杞菊地黄丸、黄連阿膠湯など
 
裏熱
体の内側に熱がこもっている状態です。

熱がこもる原因は様々あり、それによって対処方法も違います。
陰虚火旺も裏熱のひとつです。

他には、
・飲食の不摂生などで汚れから発生した熱(湿熱)
・ストレスがかかり鬱滞したところから発生した熱(肝鬱化火)
があります。


熱と水分の偏りの両方があると、多汗になりやすく、「湿熱」は特に症状がひどく、なかなか治りにくいです。

また、精神的なものも熱を発生させる原因になりやすく、また多汗症であること自体がストレスとなり、悪循環になってしまいます。

熱は上(頭)や末端(手・足)に放出されやすいため、頭や手足だけの限局した場所に汗をかくことも。
代表的な漢方薬
竜胆瀉肝湯、荊芥連翹湯、茵蔯五苓散、柴苓湯、白虎湯など
 
『汗かき』を根本から改善するには、漢方薬を
「暑くないのに汗がだらだら出てくる」
「手に汗をかいてハンカチが手放せない」
などでお悩みの方は、体の内側から整えていく漢方薬がおすすめです。


発汗は通常体温調節のために起こる生理現象であり、私たちの身体にとって必要であるはずのもの。
しかし量やタイミングが異常な場合は、深刻なお悩みになります。

また、発汗は自律神経とも深いつながりがあります。
その乱れは、どこかで頑張りすぎていたお体の声かもしれません。
じっくりご自身と向き合われ、全身から整えることで改善が期待できます。


漢方相談では、まずはなぜ過剰に汗が出るようになってしまったのか、体の中でどういうことが起こっているのかを漢方的に紐解き、お一人お一人に最適な処方を選んでいきます。

そして、そもそも体のバランスが乱れる原因は、心・食事・運動・休養・環境の乱れ。
漢方薬を飲むとともにこれらを見直していくことで、自分の良くなる力をより発揮できるようになり改善への大きな後押しとなります。

不快な汗でお悩みの方は、ぜひ一度漢方みず堂にご相談くださいませ。
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