症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/27 (金)

鹿茸(ろくじょう)

■鹿に生えるきのこ!?

鹿茸は、梅花鹿、馬鹿など大型の雄鹿の幼角(袋角)です。

鹿の角は、毎年春になると抜け落ち、そこから新しい角が生えてきます。幼角とは、この生え始めの、皮膚で包まれた柔らかい角のこと。見た目も育ち方も、まるで鹿に生えるきのこのように見えることから、鹿茸といわれます。

幼角は育つにつれ、徐々に骨化し、夏前には丈夫な角が出来上がります。この状態まで育つと、鹿角(ろっかく)という生薬です。鹿茸に似た効果もありますが、薬力は劣ります。

角の骨化は、根元の内側から進み、それにつれ、栄養は失われていくため、鹿茸としては、若いほど、先端部(上台)ほど、高品質です。

■鹿茸の効能

鹿茸は、助陽薬の代表格。動物生薬ならではの、強いパワーを持っています。

一般的に漢方薬は時間がかかるといいますが、比較的、即効性が期待できるものです。

○補真陽・益精血・強筋骨 ~根本の生命エネルギーを補う~

「腎」には、生命力の源「腎精」が溜められており、一生涯に渡り生命活動を維持する力、そして、次世代へ命を引き継ぐ力を持っています。

この腎精からは、人として在る為の基礎「陰(真陰)陽(真陽)」が生まれます。陰は体を形作り、滋養するもの、陽は原動力、機能させるエネルギーです。

生きていく上でとても重要な腎。ここが衰弱すると、全身的な機能衰退につながります。小児の発育不良や、いわゆる老化現象などがその現れです。

ただし、腎は年齢を重ねるごとに消耗していくものなので、年相応の変化は自然なことです。

鹿茸は、体本来の機能を発揮させる「真陽」を補い、さらに、その真陽を支える「精血」も増やします。

子供の成長が遅い、無月経、無気力、足腰の脱力感、冷え、卵子が育たない、インポテンツ、遺精、頻尿、など腎精不足の症状に、鹿茸の力が大きな助けになります。

○調衝任、固帯脈 ~妊娠の鍵!衝任脈を整え、帯脈を強化~

衝脈・任脈は、子宮から発する気血の通り道。生理や妊娠を調整します。帯脈は、帯のようにお腹~腰を横に通り、縦に通る他の経脈を束ねる脈です。

これらが弱ると、生理周期が乱れたり、赤ちゃんの為に必要な栄養が蓄えられず、不正出血、帯下が多くなったりします。

鹿茸は、衝脈・任脈が子宮へ十分な気血を届けられるように、また、帯脈の留める力を強化して、妊娠に必要な環境づくりを担います。

○温補内托 ~生気を増やして治癒力アップ~

慢性や反復する潰瘍・フィステルなど、薄い浸出液が出たり、あまり化膿せず、治りきらない炎症などは、治癒力が足りずに長引いている状態。

毒素を出すのに必要なエネルギーと、傷口を再生させるだけの栄養をつけ、回復を助ける際にも鹿茸が役立ちます。

■妊活中の方にとって強い味方

現代社会は、晩婚化や、自然でない食、運動不足、過労など、「腎」の力を低下させる環境が少なくありません。

また、不妊治療で、採卵の為に排卵誘発剤を使い続けると、だんだん卵がとれなくなってきますが、「腎」が疲弊している兆しです。

男性も女性も、命をつなぐ為の力は「腎」に宿ります。体に過度に負担をかけてしまったり、あるいは、何もしなくても時間と共に、その力は失われていきます。

妊娠の為に大切な事は、「腎」の力をつけること、そして、それができるだけ早い方が良いです。

妊娠力の根底にある「腎」の強化、動物生薬ならではの即効性、この2つの長所がある鹿茸は、妊活中の多くの方におすすめです!

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