ミカンは薬
冬、こたつと相性抜群のミカン、その皮を乾燥させたものは、生薬として漢方薬に用いられます。
同じミカンでも、皮を乾燥する時期ごとにさらに分けられ、青皮、橘皮、陳皮という別の生薬になります。
熟す前の、皮が緑の時期のものは「青皮(せいひ)」、
熟して橙々色になったものは「橘皮(きっぴ)」、
橘皮が時を経て古くなると「陳皮(ちんぴ)」(陳:古いという意味)です。
どれも同じ植物の同じ部位のものなので、似たような働きを持ちますが、区別されるだけの違いもちゃんとあります。
ミカンの薬性
ミカンの皮をむく瞬間、ぱっと広がる香りは気分をすっきりさせてくれますね。
生薬としての性質も、「気」の滞りをすーっと流すことから「理気薬」と言われます。
「気」は、気分的な事や活動の為のエネルギーとして、とても大事なものです。
【陳皮・橘皮の性質】
熟した皮の中では古いものほど良いとされ、陳皮が重宝されています。気を巡らせながら余分な湿気を除き、特に胃腸や呼吸器系の働きを整えます。
食欲不振、吐き気、お腹の膨満感、胃のもやもや感、喘鳴、息苦しい、咳、痰が絡まる
などの症状におすすめです。
【青皮の性質】
気の鬱滞を流す力が、より強いです。ストレスの溜め込みから来る、イライラ、鬱々とした気分をぱっと散らしてほぐします。胃腸の活動を促して、消化を助ける働きもあります。
自律神経症状、精神不安、のぼせ、胸苦しさ、歯ぎしり、PMS、ガスが溜まる、逆流性食道炎
などが現れやすい方に合います。
生薬は一般的に、新鮮なものほど鋭く、古くなるとマイルドに働きます。
強い症状を素早く鎮めたいときには新鮮なものを、慢性的な不調には、体にじんわり働きかける古いものがぴったりです。
ミカンの皮を使う漢方薬
○青皮
柴胡疏肝湯
○橘皮
釣藤散、鶏鳴散加茯苓
○陳皮
温胆湯、化食養脾湯、藿香正気散、六君子湯、茯苓飲、抑肝散加陳皮半夏、補中益気湯、清肺湯・・・他にも、まだまだ沢山あります。
手作り橘皮の活用法
食べ終わったミカンの皮を、庭やベランダで陰干しして乾燥させれば橘皮の出来上がりです。
○お湯を注いでお茶として
- 胃腸の疲れや、気をほぐしたい時におすすめです。
○お風呂に散らして、一日の疲れをリセット
- 香りが直接働きかけてくれます
お茶パックにいれて浸せば、後片付けが楽です
○靴箱に入れて消臭剤として
- 爽やかな香りだけでなく、消臭効果も期待できます
家にある、とても身近な生薬です。一度、試してみてください。