いよいよ夏本番
台風一過の暑い日は、テレビでも盛んに報道されているように、熱中症にご用心ですね。特にここ数年は異常気象で、30度を超え、35度以上になることも珍しくなくなりました。最高気温の常連である埼玉県熊谷市、さらには、高知県、山梨県、山形県等々軒並み40度近くまで気温は上昇します。
なんとなくだるい、ふらふらする。食欲もない。やる気がしない。寝ていたい。等々
だるさやふらつきが最も多い症状ですが、症状が出なくて熱中症になってしまう方も多いですね。
熱中症のメカニズム
①体内の熱を放出するために、皮膚表面に血液が行きわたり、一時的に血圧が下がり、脳の中の血液が少なくなる状態で、めまいや立ちくらみが起こる。
②熱を放出するために汗をかきすぎて、脱水症状となり、全身倦怠、嘔吐、悪心、頭痛が起こる。
③汗と一緒に電解質(特に塩分)が放出され、塩分不足となり、けいれん、手足のひきつりが起こる。
④さらに進むと意識障害、脳の障害がおこる。
という事になります。
漢方的に考えると、「陰虚」の状態
熱中症は、体の中の水分や血液が足りなくなって起こる症状と言えると思います。
漢方的には「陰虚」の状態。「陰虚」の「陰」とは、「気血津液論」という漢方の考え方の一つで、人間の体の中を巡っているのは気と血と水分であり、そのうちの血と水分の事を「陰」と呼び、「陰分」とも言います。
この陰分、つまりは身体の中のリンパ液に代表される水分と、血液が少なくなった状態が「陰虚」という状態で、まさに熱中症と同様の症状が出てきます。
熱中症の漢方
漢方では、陰分を補う「補陰剤」「気陰双補剤」という種類の漢方薬を使います。
補陰剤の代表的な漢方薬は、六味丸で、咳やのどの乾燥がある場合は滋陰降下湯(じいんこうかとう)や滋陰至宝湯(じいんしほうとう)などを用います。
また、気陰双補剤の代表的な漢方薬は、炙甘草湯(しゃかんぞうとう)や清暑益気湯(せいしょえっきとう)などがあります。
清暑益気湯
特に、お年寄りの熱中症予防のためには、今の時期は清暑益気湯が活躍します。
現在88歳の女性の方。今の時期の7月前半からだるい、食欲がない、血圧が安定しない、ふらつきがある、という症状が出だして、清暑益気湯に変えて、血圧が落ち着いたのと、ふらつきも解消されています。もちろんすべてが清暑益気湯という事ではありません。ぜひご相談のうえ、適切な漢方薬を。