髪の問題は血の問題
人に会った時、まず目が向くのは顔と頭髪。それだけに髪のお悩みは深いものです。
漢方では、「髪は血の余り」です。つまり、髪の問題は血行障害によって起こり、それは、頭皮部の問題だけなく全身の状態と深い関係があります。植毛や育毛剤など、テレビCMでもよく見かける髪の毛市場(繁盛しているようですね!)ですが、その場しのぎでなく、根本から見直してみてはいかがでしょう?漢方では大きく4つのタイプがあります。
その①「血が少ないことによる血行障害」
血は栄養分で潤いを与えるものです。それが少ないとなれば、髪はパサパサしますし、抜けてきます。少なくなる原因は人それぞれですが、特に髪は「腎」の丈夫さと相関しています。「腎」は命の火を燃やすための燃料が蓄えられています。燃料を増やし、質をよくするような漢方を飲みます。漢方でいう「補腎剤」というものがそれにあたります。老化による多少の薄毛は正常ですが、予めこのような漢方で予防することも可能です。(六味地黄丸など)
その②「体の中の風が引き起こす血行障害」
風邪(ふうじゃ)といって体の内外からの風が強くなり、種々の症状を引き起こします。風で水が乾いたり、落葉するように、体の中の風は髪の乾燥や脱毛の原因に。特に急激な変化をもたらすのは風の特徴です。急に脱毛したとか急に白髪になった、などという時は、風の影響と考えます。また、血が少ないと、内風(ないふう)といって身体の中から風が起こり、症状が長引きます。この場合は、血液を補いながら風を静めていく漢方を選びます。(荊芥連翹湯、当帰飲子など)
その③「ストレスによる血行障害」
ストレスが強いとき、精神的な症状以外に血の流れも滞ります。漢方では肝気鬱結(かんきうっけつ)と言います。ほかの原因で脱毛や白髪があっても、そのこと自体がストレスになり、更に悪化することもあります。ストレスによって鬱滞しているものをさらさらと流してあげるような漢方を用います。(加味逍遥散など)
その④「汚れたものが詰まる血行障害」
美食家・お酒のみに多いのがこのタイプです。食事の不摂生で身体の中に痰湿(たんしつ)というお水がドロドロになったものが溜まっていきます。そのドロドロから熱が発生して頭部に影響したり、血行障害を起こすと、脱毛などの症状が起こりやすくなります。舌に黄色いネバネバした苔が常についているようでしたら要注意。漢方では痰湿を取り除くものを用いますが、粘りけがある分、時間がかかります。(竜胆瀉肝湯など)