紫雲膏(しうんこう)はラーメン?
江戸時代の医師 華岡青洲が、中国の明代に作られた「潤肌膏(じゅんきこう)」に豚の脂を加えて命名されたと伝わっています。
中国から入ってきたものを更に磨きをかける。例えれば、ラーメンみたいなものでしょうか?何とも日本人らしい作品ですね。
紅色をした胡麻の油の香り漂うそれは、漢方薬の軟膏の中でも最も使用頻度が高く、その名は広く知れ渡っています。
我が家での使い道
当然我が家でも「紫雲膏持ってきて~」と言えば通じます。
私自身は痔の脹れに(最近は治っていますが・・・。)塗ってすぐに痛みが和らぎます。これには感激しました。
妻は火傷や肌のトラブルに。火傷の時は、患部を冷やしてから厚めに塗っておくと水ぶくれもできず痛みも軽減されます。やけど跡も残りにくいので必須です。恐らく火傷においてはこれ以上の薬はないのではないかと思います。
息子たちの湿疹に。口に入っても安心なので乳児湿疹やおむつかぶれなどに安心して使用できます。市販の軟膏に効果も劣りません。
他にも、イボ、褥瘡、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、円形脱毛症、鼻づまり、にきび、わきが、白斑などにも使えます。
※化膿している、傷面が大きい、分泌物が多い場合は使用しないこと。
紫雲膏の内容とそれぞれの生薬の薬効
なぜ、こんなにも使用範囲が広く、またそれぞれに対する効果も高いのか?その秘密は中身を見れば一目瞭然です。
【紫根(シコン)】
数年前に、その美肌効果が注目され、肌のシミが消える!と紫根の化粧水が流行りました。その他の効能としては、解熱、解毒、抗菌、炎症を鎮める、傷の治りを早める、抗腫瘍作用などが言われています。
【当帰(トウキ)】
婦人病に良く使用される生薬ですが、外用として使用すると、傷の治りを早めたり、肌の血行を良くして潤す働き、鎮痛作用があると言われています。
【胡麻油(ゴマユ)】
紫雲膏の基剤として使われており、それぞれの生薬を馴染ませる役割があります。作用としては肌を潤す働きがあると言われています。
【蜜蝋(ミツロウ)】
ミツバチが巣を作る為に分泌する液体を固めたもの。化粧品やキャンドルなどにも使用されます。肌の保湿や抗菌作用などがあると言われています。
【豚脂(トンシ)】
豚の脂肪。肌を潤し、解毒する働きがあると言われています。
「一家に一瓶 紫雲膏」と言われる所以
ご覧の通り、肌の炎症や解毒をしつつ、肌の再生まで手伝ってくれ、さらに美肌効果まであり様々な肌トラブルに効果的です。
さらにすべて食べられるもので出来ているので、口に入っても大丈夫。赤ちゃんからお年寄りまで安心して使えます。
応用範囲も広く、西洋薬の塗り薬に効果でも劣る事なく、むしろ優れていることも多いですし、安全性においては抜群に良いです。
漢方専門店では往年の大スター
この紫雲膏、漢方専門店では、常に軟膏コーナーの主役級の場所に陣取っていると思います。往年の大スター扱いです。
ドラッグストアにも普通に販売されていますが、気づかない方も多いのでは?塗り薬コーナーの片隅にひっそりと佇んでいるかもしれません。
この扱いの差は何?と思ってしまいますが、個人的にはもっとスポットライトを当てて欲しいと思っています。非常にもったいない。
紫雲膏が大ブームにならない理由
紫雲膏のもう一つの側面①紅色が服などにつくと落ちにくい②肌につけると体からごま油のにおいが漂う
これが紫雲膏の大ブームを妨げているように思います。
でも、安心して下さい。家の中だけの使用に限れば問題ありません。
とても働き物で、いつも予想外のピンチを何度も救ってくれ、その効果に感動されたり、後で嫌がられたり。
どこか憎めない、でも愛すべき存在。そんな紫雲膏が僕は大好きです。