症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

同じ便秘でも虚証と実証で全く違う漢方薬

朗らかな印象の70代の女性

お悩みは便秘症で、毎日お手洗いに1時間以上こもる程。
硬くて、苦しいことと、あまりにも頑張ってしまうと腰痛が悪化し、そちらのほうが大変で困っているとのことでした。
はじめは、便秘に効くって聞いたから防風通聖散が欲しいとのことでしたが、症状体質に合わせてお選びすることになりました。

体質は熱がり、貧血気味、爪が脆い、立ちくらみ、めまい。既往歴は40歳のころに痔の手術、1年前に背骨を複雑骨折がありました。

腸の潤い不足の便秘

胃腸を滋養できずに、便が乾燥して、便秘になってしまう典型的な腸燥便秘でした。このような虚証の方がもし防風通聖散のような実証の漢方を飲まれていたら、腹痛も激しく、下してしまわれたことと思います。やはり、自分の症状体質に合ったものを飲むことが非常に大切です。

服用して3日で、ストレスなくお通じがつくように!

2ヶ月経った頃には、漢方薬の量を減らしても調子は変わらず、一番困っていたことが改善されたことから、気持ちが前向きに変化。食事や運動にこだわるようになり、ますますお元気に。
外出が増え、趣味が増え、ご様子をお伺いするたびに遊びまわっています!と明るい声でお話されます。

実はこの方はご主人の認知症で壮絶な介護をご経験されていました。本当に辛くて、…このまま逃げてしまおうかという想いが何度もよぎったものの、ある日「たくさん、迷惑をかけた。すまない。ありがとう。」と伝えられ、それまでの辛さや悲しさが全て吹き飛び、最期までしっかり看取られたそうです。

「一人になった今、少し寂しさはあるけれど、いままで頑張ってきた分、心から楽しみたいから健康になりたいのよね。」とおっしゃるように、健やかで穏やかな毎日をお過ごしいただきたいなと心から願っています。