症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

便秘と漢方

便秘とは

日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または排便があっても残便感がある状態」

また、日本消化器病学会では「便秘症では排便回数が数日に1回程度に減少し、排便間隔不規則で便の水分含量が低下している状態(硬便)」を指しますが、明確な定義があるわけではありません。

つまり、便の出る回数だけではなく、不快なくすっきり出ているかが大切です。

便秘というのはただ便が出ないということだけが問題ではありません。便秘が起こることによって、肥満、腹痛、自律神経の乱れ、肌荒れ、頭痛、肩こり、不安、イライラなどの症状の原因となる場合があります。

どうして便秘になるのでしょうか

便秘の原因には遺伝による疾患、大腸がん、器質的な問題、薬の副作用、精神的な影響などがあります。

漢方的な便秘の原因について以下大きく6つに分けて解説します。

①熱結

熱が大腸に生じると、腸が乾燥して便秘になります。

発熱、顔面紅潮、口渇、にきびなどの症状を伴うことが多く、もともと陽性体質の人や、風邪、飲酒、辛いものや油っぽい物の取りすぎなどで熱を生じます。

大黄甘草湯、大承気湯、防風通聖散など清熱作用のある漢方薬を用います。

②気滞

ストレス、緊張、旅行などの環境の変化で、肝気がうっ血することにより、胃気が停滞して下降しないために便秘をします。

また、大腸と肺は表裏関係にあるため、せき、喘息によって大腸の気が停滞し便秘が起こります。

通導散など気の巡りを良くする漢方薬を用います。

③気虚

脾の気虚により、腸の蠕動運動が弱まります。津液を全身に巡らせることができなくなり、大腸の潤いがなくなり便秘になります。

六君子湯、補中益気湯など気を補う漢方薬を用います。

陽虚

動を主る陽気が不足すると、腸の蠕動運動が弱まり排便困難となります。また、腎の陽が不足し、寒が腸に停滞する事で便秘になります。

八味地黄丸など身体を温める漢方薬を用います。

⑤血虚

滋潤作用をもつ血が不足し、腸が乾燥することで便秘になります。

潤腸湯など補血作用のある漢方薬を用います。

⑥陰虚

全身の陰液の不足により、腸に潤いがなくなり便が硬くなります。

麻子仁丸など陰液を補う漢方薬を用います。

便秘の養生

便秘は、食習慣、生活のリズムを見直す事でも改善します。

またリラックスした時間を作り自律神経を整えることも大切です。自律神経を整えるためにはクンバハカ法という呼吸法や養動法がお薦めです。

お通じをよくする漢方薬にも多くの種類があります。ぜひご自分の便秘になった原因、体質にあった漢方薬を飲んで下さい。