症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

カンジダ膣炎と苦参湯

繰り返すカンジダ膣炎

妊娠7か月の妊婦さんがご来店されました。お悩みはカンジダ膣炎。一年前から外陰部の痒みが強く、妊娠してからはおりものにも変化が。量が多くなり、色も濃い黄色、ボロボロしたものや、サラサラしたものが常にでている状態に。もともと20才過ぎた頃からカンジタ膣炎になりやすくなり、そのたびに病院で洗浄をされていました。
洗浄すれば一旦は収まるものの、また繰り返す。それが嫌になり最近は洗浄には行ってないとのことでした。出産はなるべく自然な形でと、助産院で希望されており、「臨月になってもこの状態だったら病院へ行かなきゃかな・・」と不安そうに言われながらも、なるべく自然なもので良くしたいとの希望でした。

煎じ薬で唯一の外用剤:苦参湯(くじんとう)

まずは痒みのあるデリケートゾーンに外用剤の漢方を。苦参湯という漢方を煎じて、その液をコットンに浸してデリケートゾーンに付けていただきました。翌日、すごくすっきりした!!と早い効き目に喜ばれていました。本来は、煎じた液を大きめのたらいに入れ1~2Lぐいらいに薄め、足を広げ腰を据えて患部を浸す方法が一番いいですが、お客様の場合、妊娠7ヶ月でお腹も大きく、たらいに腰を据えるのも大変なためコットンでやっていただきました。ガーゼハンカチでもいいですね。
普段は、雑菌などの繁殖を抑えるため、膣内は酸性に保たれています。しかし妊娠を機にホルモンバランスが崩れると、膣内がアルカリ性に傾いてカンジダ真菌が増殖しやすい環境になります。特に妊娠初期はつわりなどで体力の消耗が激しく、カンジダ真菌の増殖を抑える免疫力が弱まってしまうのも、カンジダ膣炎を発症しやすくなる要因のひとつです。

根本的な原因は免疫力の低下

この方はやせ形で夏でも冷えを感じるほどの冷え性。20歳のころからカンジタ膣炎を繰り返されてますのでそれこそ免疫力・抵抗力が弱いようです。外用剤と同時に、免疫力・抵抗力を高めるために血を補う漢方薬を飲んでいただきました。安胎薬ともいわれる漢方薬で、妊娠初期から、また特にむくみなどがでやすい妊娠後期にもよく飲んでいただく漢方薬です。

布ナプキンが活躍

それでもまだ寒さが残る春先、「コタツで少しうたた寝してしまい、陰部がムシムシしてしまってまたかゆみが少しでてきた」と症状が出だした時には、早め早めに外用剤で処置をされ、かゆみがひどくならないうちにすっきりされました。外陰部はデリケートなので、かゆみにまけてかいてしまうと炎症がひどくなり、下着がすれて痛みを感じるなど日常生活にも支障をきたします。お客様には肌に優しい今治布を使った布ナプキンを使っていただきました。
その後本人様も、お腹の赤ちゃんも順調に。今頃はお母さんの胸に抱かれていらっしゃる頃でしょう。
デリケートゾーンのお悩みは相談しにくく、一人で悩んでいる方も多いと思います。
ただ出産時のカンジタ膣炎は赤ちゃんにもよくありません。早めに医療機関や当店にご相談下さいね。赤ちゃんを迎えるその日まで、なるべく快適に過ごしていきたいですね!