症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

ステロイドの副作用で耳鳴り・頭痛・不眠

ステロイド治療でかえって悪化

小柄な72歳の男性。

昔から『ジー』という耳鳴りが時々あったが、それが毎日24時間聞こえるようになった。それがたまらなくて病院に行ってステロイドの治療をしたが、それからカーッと頭に血がのぼったようになり寝れなくなった。
薬を飲むと寝れるが、3回くらい目が覚める。
耳鳴りはその後、何か集中したり、他の音がある時は大丈夫だが、静かなところではずっと聞こえる。さらにイライラするとのぼせと一緒に酷くなり、ひどい時はジンジンする頭痛と一緒に起こるようになった。

精神的に夕方になると、また寝れなくなるのではないか?と不安が高ぶってくる。

耳鼻科も何件かいったが、ビタミン剤しか出されない。

肝鬱化火

早期の難聴でよく使われるステロイドですが、今回の方は逆に様々な症状に悩まされることになってしまいました。

ご職業は分かりませんが、数字を追うお仕事のようで、それでイライラもしているようでした。

イライラするとのぼせ、さらに耳鳴り・頭痛が出るというのは、まさに肝鬱化火(かんうつかか)の状態。この肝の熱を冷まし、気機の流れをつけながら、精神を安定させる漢方薬を飲んでいただきました。

漢方服用後の経過

1ヶ月後、耳鳴り頭痛は変わらずひどいが、夜22時には寝られ、途中一回しか起きないようになった。

2ヶ月後、安定剤1日3回飲んでいたのが1回に減った。

4ヶ月後、頭痛がへった。イライラのぼせも減った。耳鳴りのジーンというのは時々ある。

6ヶ月後、頭痛がなくなり、逆に音の方に意識が行くが、以前より音自体は小さい。よく寝られているし悪くないので続けようと思う。

耳鳴りは多くの方が悩まれ、病院でもなかなか改善されない方が多いです。
耳鳴り自体の改善には時間がかかることが多いですが、今回の方のように他の体調に良い面が出ることで、頑張って続けてくださる方が多いように感じます。