症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

東洋医学の考え方の基本『陰陽』とは、何か?

東洋医学の考え方の基本『陰陽』とは、何か?

中華料理店や漢方薬局などによくある、このマークの意味をご存知でしょうか?

黒の勾玉と白の勾玉とが混ざり合うことなく、まるでぐるぐると回っているかのように見える、この図の名前は『太極図』(たいきょくず)と言います。

この太極図は、非常にシンプルな図ですが、実は東洋医学(中医学・漢方医学含む)の基本概念を表しています。

黒の勾玉と白の勾玉は、それぞれ”陰”と”陽”を表しています。

まずは陰と陽の違いを正しく知ることからはじめましょう。

陰について

陰と陽と聞くと、「陰」にはマイナスイメージを抱いてしまいがちですが、私たちの身体を健康に保つためには、陰も大切な存在です。

陰……収束する力
陰陽の陰とは、静かなエネルギーのことをいいいます。
「静かなエネルギー」とは何かと言うと、その場にとどまる冷気のような、静かなエネルギーのことです。

東洋医学的に表される陰とは以下のようなモノを指します。
• 月
• 夜
• 水
• 裏
• 女
上記の陰を代表するモノをご覧頂いてもわかる通り、どれも生活する上で、欠かせない存在です。

人間社会に女性がいなければ、子どもを産むことができないので、人間の種が終わってしまいます。
世界が昼だけで、夜が来なければ地球が乾燥し、水がなくなり生物が死に絶えてしまいます。
表裏一体という言葉通り、表だけで裏がないというのは、やはり世界が成り立ちません。

このように私たちが住む世界――万物はすべて陰と陽に分けられます。ですから陰で構成されているものもこうして沢山あります。

陰で構成されるモノもなければ、世界は成り立たない、というのが太極図の持つ、深い意味の1つです。

陽について

それでは陰と対象的な存在である陽とは、どんな存在なのでしょうか?

陽……発散する力
陰が収束する力なら、陽は発散する力とされています。
「静かなエネルギー」の陰とは対象的に、動き回る活発なエネルギーが陽です。
「動き回る活発なエネルギー」と聞くと、良いイメージしかありませんが、働きすぎると過労によって、身体を壊してしまいます。機械も動かしすぎれば、すぐに壊れてしまうように、活発なエネルギーばかりでも、身体には良くないのです!

東洋医学的に表される陽とは以下のようなモノを指します。
• 日(太陽)
• 昼
• 火
• 表
• 男
陰ばかりでも世界はやはり成り立ちません。もちろん陽もなくてはならないものです。
夜ばかりでいつまでも日が昇らず昼が来なければ、農作物は育ちません。

日の光や活動エネルギーが無ければ、やがて地球上の全ての生命活動が停止してしまいます。

また、地球上のすべてが女性だけでも、やはり種は絶えてしまいます。

陰と陽とで構成される世界と私たち

陰だけでも陽だけでも、万物は成り立ちません。 そして、それは私たちの身体の中にも言えることです。
私たちが生きる世界は、陰と陽とで構成されている――というのが、太極図の持つ意味です。

この太極図は白い勾玉の中に黒い点が、黒い勾玉の中に白い点がありますが、それは「陰の中にも陽があり、陽の中にも陰がある」という意味です。一見、陰だけに見える物事の中にも陽があり、陽だけに見える物事の中にも陰がある、という自然の摂理を表しています。

世界が陰と陽との増減で続いていくように、私たちの身体の中でも陰と陽とがそれぞれ増減しながら循環し、私たちの身体も健康な状態を保っている――そして、この陰と陽の増減のバランスが崩れてしまうと、身体の中の調和が乱れ、病気を引き起こしてしまう。太極図はそんな深い深い意味をシンプルな図の中で表しています。