太極図は世界の私たちの『理』
太極図は、大げさに言えば私たちの世界の『理』(ことわり)を表すシンプルな図です。
陰の中にも陽があり、陽の中にも、陰がある。そして、陰と陽とが増減しながら循環することで、世界は成り立っている――というのが、前回『太極図の深い意味~陰陽とはなにか?~』でお話した内容です。
さて、そんな陰陽は自然界だけでなく、私たちの身体にも陰陽が存在しており、世界の理同様に、私たちの身体の中でも陰と陽とが増減しながら循環しています。この循環が乱れてしまったら、どうなるのでしょうか?
身体の中の「陰」が減少した場合
身体の中の「陰が減少する(陽が増える)」と言われたら、どんなイメージを持ちますか?
「なんだか陽気になりそう」
「元気いっぱいな感じ」
そんなイメージが思い浮かんだ人もいるかも知れませんね。
確かに陰の気が減少して、陽の気が増える――「陽気」(ようき)という字からも見て取れるように、陽の気が多いと元気になるイメージですが、陽の気が多すぎると身体が熱っぽくなってしまったり、乾燥しやすくなってしまったりします(※一例です)。
身体の中の「陽」が減少した場合
逆に「陽が減少する(陰が増える)」と言われたら、どんなイメージを持ちますか?
「気分が暗くなるんじゃ……」
「なんだか、淀んだ気分になりそう」
大抵の方がこのように思われるのではないでしょうか?
こちらは「陰気」という字面から受け取る印象通り、陰の気が減少してしまうと、身体が冷えやすくなったり、むくみやすくなってしまいます(※一例です)。
陰陽平衡(いんようへいこう)
陰が減少すると、身体が熱っぽくなったり、乾燥します。
陽が減少すると、身体が冷えやすくなったり、むくみやすくなります。
つまり陰と陽は多すぎても、少な過ぎてもダメなんです!また、絶えず増減して循環しているものなので、絶対的な平衡、バランスというのは存在しません。
このことを、東洋医学では「陰陽平衡」と言い、病気と向き合っていくときの原理原則である五大原則の一つに挙げられます。
【五大原則】
1.天人合一(てんじんごういつ)
2.心身一如(しんしんいちじょ)
3.陰陽平衡(いんようへいこう)
4.扶正祛邪(ふせいきょじゃ)
5.先本後標(せんぽんこうひょう)
ついつい、字面の印象だけで「陰は悪いものだから、減らさなきゃ」「陽を増やして元気にならなきゃ」と勘違いしがちですが、陰も陽も両方あってこそ、私たちの身体は成り立っている――ということ。そして、常にバランスは変化し、絶対的な健康というものは存在しないからこそ、その時々で調和をとることが大切だということを、忘れないでくださいね!