症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

漢方で考える子宮内膜症

子宮内膜症は不妊症の原因なの?

生理がある女性の約10%にみられるという子宮内膜症。

子宮の内膜は、赤ちゃんのためのふかふかベッドです。

赤ちゃんがいないときは剥がれて生理として体外へ出ていきます。

普通は、子宮の内側だけに存在するもの。

しかし、内膜が子宮を飛び出し、卵巣やその他の場所に存在してしまうと、子宮内膜症です。

本来はないはずの場所で、月経の度に増殖し、その血液は生理のように排出されず、炎症を起こします。

子宮には問題はありませんが、卵を作る卵巣にできれば(チョコレート嚢胞)、

卵巣は腫れ、周囲にある卵管などとくっついてしまい、本来の卵巣や卵管の働きができにくくなります。

また、赤ちゃんができない原因が見つからない女性の約20%に、腹膜に内膜症が発見される為、

直接の原因がわからなくとも、腹膜の内膜症も不妊と関係しているといわれています。

 

でも!

漢方ではそうは考えません!

というか、私はそうは思いません!

 

実際のデータが違う、というのではなく、考え方が違うような気がしています。

「実際に(腹腔鏡や開腹して)目に見えるほどの内膜症ができてしまう状態」

これに問題があります。

「ブルーベリースポット」と呼ばれたりしますが、黒い斑点状だそうです。

そう、漢方では「瘀血」(血の滞り)です!

 

腹膜に瘀血がある・・・ということは、他のところでも瘀血は存在する可能性が高く、

かなり極端な言い方をしますと、赤ちゃんのためのふかふかベッドは、どろどろベッドかもしれません。

実際に、手術後数年して再発することも多いと言われていることからも、

体質から変えていく必要があると感じています。

 

では、なぜ瘀血ができてしまうのでしょうか?

 

原因①「運動不足」

運動は血行をよくしますよね。

常に同じ姿勢ばかりでは、血行は悪くなり、瘀血ができます。

運動する時間がとれない方へ私のおすすめは「掃除」です!

窓ふきとか、ぞうきんがけとか、イイですね!

 

原因②「食事の不摂生」

添加物の入ったもの、甘いもの、脂っこいもの、乳製品の取り過ぎはやはり瘀血につながります。

繊維質の多い野菜を一緒にとって、体外へ排出できるようにしましょう。

 

原因③「冷え」

液体のほとんどは冷えるとかたまります。

血液も同じ。

入浴や食事・衣服で改善できることも多いですね。

 

原因④「睡眠不足」

漢方で「血」は「体のガソリン」の一部です。

毎日動いたり考えたり、見たりできるのは、「血」があるおかげ。

睡眠不足では体はガス欠。

ガス欠なのに燃やそうとするとススが出るのと同じで、瘀血が発生します。

体質にもよりますが、赤ちゃんを望む方は、8時間くらい眠れるといいですね。

 

原因⑤「ストレス」

ストレスが多くかかると肩がこりませんか?

血行が悪くなっている証拠です。

ストレスは血行を悪くします。

こまめに深呼吸することで血行不良を防げます。

 

原因⑥「血虚=血の不足」

体力があまりなく、立ち眩みがあったり、爪がもろかったり、肌が乾燥していませんか?

「血虚」があると、流れるモノがないので、血行がわるくなります。

睡眠不足以外にも元々の体質的なものだったり、ストレスが長期化していたり、

目を使いすぎたり、無理なダイエットをしていると血虚になってしまいます。

 

漢方では、瘀血の原因がどこにあるのかをまず見極めます。

それによって使用する処方も様々。

 

虚弱なために瘀血がある方には「当帰芍薬散」。

虚弱体質で、冷えもストレスも血虚もある方の瘀血には「きゅう帰調血飲第一加減」。

体力は普通で冷えがある方には「桂枝茯苓丸(加よく苡仁)」。

体力がかなりあってストレスがあり、便秘もちの方は「通導散」。

他にもいろいろ・・・いろいろ・・・です。

 

ぜひ漢方で瘀血退治!してみませんか?