流産のダメージから抜け出して、前に進みたい
40才を間近に控えた女性。2年ほど前から二人目のお子様を望まれていました。1年前から病院で治療をスタートし、年齢を考慮し早めのステップアップで3ヶ月前に体外受精に挑戦。順調に進み、妊娠反応が出たものの、9週で流産してしまったそうです。
その時からイライラしたり、悲しくなったり、気持ちが不安定で何も楽しく思えない。さらに、治療を始めた頃から出てきた手荒れや頭の湿疹が、段々ひどくなっている。心も体も崩れてしまったよう。どうにか負のループから抜け出して、また治療を再開できるよう元気を取り戻したい。
体質は 疲れやすい、貧血気味、寒がり、肩・首こり、足がむくむ、乾燥肌、目の下のくま、あざができやすい、季節の変わり目は鼻づまり、口喝、お通じは固めだがストレスで便秘や下痢に腹痛も伴う、不安になると動悸、夢をよくみる、熟睡感なし、生理は30日周期、期間は8~9日で、後半はほんの少量がだらだら続く、生理痛あり、時々頭痛や吐き気もあり。
妊娠の為の最低条件は、“気血”の充足
漢方の考え方では、赤ちゃんは“気”(エネルギー)と“血”(栄養)のかたまりです。普通に考えてみると、材料がなければどんな技術をもってしても何かを形作ることはできませんよね。ですので、妊娠する為にはまず、お母さんの“気血”が十分に満ちていることが大切です。お母さん自身の気血が十分にあってこそ、次の命へと引き継ぐことができます。しかも、妊娠の後には、お腹の中で赤ちゃんを育て、出産、子育てという大仕事が続きます。そのいずれも“気血”を沢山必要とします。その環境が整ってこそ、妊娠を継続させることができ、体調を崩さずに出産・育児を頑張る力になります。
この方の場合、元々の体質に加え、治療と流産によっても“気血”を消耗し、新しい命へつなぐどころか、自分自身を養う“気血”さえも不足していました。その結果として、肌を滋養できずに肌荒れや湿疹が出てきたり、情緒を司る「心」が弱り、気持ちの不安定さ、動悸なども表れてきていました。
まずは、この不足している気血をしっかり補っていくことが最優先です。「妊娠する力」は元々備わっているもの。必要な気血が蓄えられたとき、自然と本来の力は発揮されます。
積み重ねたことが、体の力になる!
良くなりたいと始めたのに、気力がなくて漢方を煎じることができない。こんなこともできない自分に余計落ち込む・・・
初めの3ヶ月はご連絡を取りながら、とにかく励まし続ける日々でした。漢方は煎じ薬から粉薬に変更して、飲める時に飲むようにと頑張っていただきました。
そうやって少しずつ飲める日が増えてきて、それとともに徐々に気持ちも上がってきました。しばらくして不妊治療を再開。そこから約2年、お仕事のこと、家庭のこと、ご自身の気持ちのこと等、その都度その都度でご様子を聞かせていただきながら、一歩一歩進んできました。
そして、先日無事に女の子をご出産!
その間に体外受精は3回実施、3回目の2個目の凍結胚移植でご妊娠。妊娠が分かった後も、流産の経験があるため、不安はなくなりません。大切な小さい命を安心してお腹の中で育てるために、安胎薬に変えて“気血”を補い続けました。
3回の体外受精を振り返ってみてみると、
1回目 採卵8個→受精卵2個→胎盤胞1個凍結
2回目 採卵9個→受精卵4個→胎盤胞1個凍結
3回目 採卵11個→受精卵7個→胎盤胞3個凍結
受精する確率も、胎盤胞まで育つ卵の数も増えていきました。
人間の細胞は毎日生まれ変わります。毎日漢方を服用し続けることで、細胞ひとつひとつに漢方が行き渡り、その元気になった細胞で私達の身体が作られます。一般に年齢とともに卵子の質は低下するという事実はありますが、良い事を重ねた分だけ、体も良い方へ向かいます。その良い事の一つとして、漢方はきっとお役に立てると信じています。多くの妊娠を望む女性が幸せになりますように!