症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

10年来の体のだるさが漢方ですっきり!

61歳男性

10年前から体のだるさと重さを感じるようになり、疲れが抜けない。頭もぼーっとしてすっきりしない。時々熱がこもった感じがあり体温を測ってみると35度台と、体温調節もうまくいかない。脳神経外科、耳鼻科で検査をしてみたが異常なし。3年前には男性更年期障害を疑い7ヶ月ホルモン治療を試してみるも変化なし。サプリメントや健康食品も色々試してみたが効果を感じられず。ちょうど10年前に管理職になり、仕事上の人間関係にすごくストレスを感じるようになったとのこと。仕事中はずっと戦闘状態。その反動か、お休みの日は体を動かすのが億劫で家でダラダラ過ごしている。だからといって、疲れは取れず、また週が明け戦いの日々。という過酷な状況が続いていらっしゃいました。

ストレスによる自律神経の乱れ

私たちには、体を一定の安定した状態にしようと働く仕組みが元々備わっていて、その一つが自律神経です。常にこの自律神経が働く事によって、呼吸や循環、消化等の機能が調節され、様々なストレスの中でもバランスをとってくれています。体が感じるストレスには、精神的なものだけでなく、温度変化、外傷、病気、環境の変化などがありますが、ストレスの感じ方、受け止め方は人それぞれ。適度なストレスは適度な緊張を生み出して活力となりますが、それがあまりにも強すぎたり、長期間になると、自律神経は弱りバランスが取れなくなってしまい、動悸、胸が苦しい、胃痛、食欲不振、便秘下痢、頭痛、浮遊感、全身倦怠感、など様々な症状が表れます。いわゆる不定愁訴です。

少陽枢機不利には柴胡剤

漢方では自律神経が乱れる原因を少陽枢機不利と捉えます。

少陽枢機不利とは、様々なストレスが原因で気や津液が全身くまなく巡るための通り道「三焦」に滞りが生じた状態。三焦は人体最大の腑で、皮膚表面から内臓まであらゆる組織の間を通っているため、そこに滞りが生じると、あらゆる場所に、様々な症状が出てきます。症状としては、暑かったり寒かったり、胸や脇腹が張る・痛い、口が苦い、排尿異常、汗の異常など、自律神経がバランスを取れなくなった場合の症状が多く見られます。

そこでよく使われるのが、気の巡りを司る肝胆の疏泄を強めて三焦の通りを良くしてくれる「柴胡」とう生薬を含む漢方薬です。

自律神経の調整は漢方の得意分野

服用から1ヵ月、微熱っぽさが少し軽くなっている。

2ヵ月後、体のぐったりした重さが減ってきている。気になっていた体温変動もなくなっている。

4ヵ月後には気持ちにゆとりが出てきて、休みの日は工具を買ってきて気になるところを直したり、家事を手伝ったり。今まではやりたい気持ちはあっても、億劫で行動に移せなかったことが、行動できるようになっている。ご一緒にご来店した奥様も嬉しそうな笑顔。

現在は漢方の量を徐々に減らしていますが、体調の良い状態はきちんと続いています。

 

私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変化し続けていますが、人間の体の仕組みは変わっていません。そんなストレス(刺激)が多く、自律神経が乱れやすい環境にある私たち現代人、健康で元気に日々活動するためにも漢方薬が多くの人のお役に立てればと思います。