症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/23 (月)

音が響いてたまらない~聴覚過敏~

音が響いてたまらない

もともと家庭では自分の悩みは語らない方で、仕事も自分の休みが続くと会社、同僚にそれだけ負担がかかると感じられる責任感の強い男性でした。

去年今年と続けて、不幸があり、四十九日も過ぎやっと一息という所で、もともとあった周りからの音を強く感じ始め耐えられなくなっていました。

お子さんや、犬の鳴き声、金属の音などの高い音が脳に響いてたまらないということでした。普段の生活もままならず、朝起きたらお子様と一緒にいられず車の中で過ごし、休日になると音が大きく聞こえるため人が多いデパートなどには行けない状態。

それと一緒にめまい、孫悟空の輪でしめられるような頭痛、喉のつかえかすれ、胸やけ、口の中が常にしょっぱい、動悸、ホットフラッシュなどがおこり、耳鼻科・循環器科・胃腸科、そして最後は脳の検査にまで行かれましたが、異常はなく自律神経と診断されたそうです。とにかくいろいろな症状が出てしまい、どうかなってしまうんではないかと不安も感じているようでした。

柴胡剤から補剤へ

初めはストレスによって体の「気」の通り道が絡まってしまっている状態と捉え、柴胡剤を飲んでいただきました。しかし症状は良くならず、睡眠障害、夕方微熱なども出始めました。

そこで、通り道を通すことよりも、まずは心身の消耗を補っていく「補剤」に漢方を変更しました。

すると飲み始めて二週間、奥様から見た旦那様の顔がすこし変わってきたように感じる。寝られるようになってきた。耳の音、めまいは波があるが変化を感じられるようになっていました。

さらに一か月後、新しい犬を飼い始めたのもあり、自分から外にも出られるようになってきているという事でした。

先本後標の大切さを思い知った例でも出てきましたが、同じ山を登るにしても色々な登山道があるということをここでも実感しました。症状や一つの考えに縛られずその方の心・体全体を見て感じる事の大事さを改めて感じさせていただいた事例でした。

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