症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2024/10/22 (火)

妊娠中の風邪に葛根湯は控えましょう

漢方なら安心・・・?ではありません!
色々と飲める薬に制限がある妊婦さん・授乳婦さん。
「漢方なら安心だよね」と、漢方薬を選ばずに飲むのは止めましょう。

漢方薬と言えども、妊婦さんに使えるものはかなり限定的です。

というのも、風邪と言えば代表的な葛根湯。実は、妊婦さんには使えません。
 
妊婦さんは避けたい漢方薬
・麻黄が入る漢方薬

・大黄が入る漢方薬

・附子が入る漢方薬

・駆瘀血(くおけつ)剤と言われる、血の巡りをかなり良くする漢方薬

は妊婦さんには基本的に「禁忌」です。

葛根湯の主成分は「麻黄」。汗をかかせて発散させ、風邪を吹き飛ばして治す漢方です。
かなり”攻め”の漢方薬なので、妊婦さんだけではなく老人や虚弱な人には向きません。



それでは、妊娠中の風邪にはどうしたら良いのか?

まずはかなり初期の段階で対処をする事。
肺炎になるまでこじらせてしまっては、もう漢方の出番はありません。

「安全性は確立されてませんが・・・」そのようななことを言われながら、抗ウイルス薬や抗生物質を飲むことになってしまいます。
 
何となく風邪かな?頭や喉が少し痛いような、体もじっとり熱いような・・・
そんな時には、素早く桂枝湯(けいしとう)を飲みましょう。

飲み方は「風邪の漢方の正しい飲み方」をご参考に。
お粥をすするまではしなくても大丈夫ですが、とにかく桂枝湯を飲んで、お布団に入り、じわっと汗が出るまで3~4時間間隔ぐらいで飲み続けます。(もちろん、夜寝ている間に起きてまで飲む必要はありません。)

もし咳がゴホゴホ出たり、喘息持ちの方は桂枝加厚朴杏仁湯(けいしかこうぼくきょうにんとう)を飲みましょう。

あまりに喉が痛ければ桔梗湯(ききょうとう)でガラガラ~ぺとうがいを。抵抗がなければゴックン、するといいですよ。
 
何となく気持ち悪いな、お腹も痛いかも?ノロウイルスかな・・・?
そんな時には香蘇散(こうそさん)を飲みましょう。
つわりの気持ち悪さかどちらか分からない時でも、飲んで大丈夫です。

いよいよちょっと下痢になってきた、お腹が痛い、やっぱり胃腸炎かな?咳や鼻水もあるかも?という時は参蘇飲(じんそいん)を飲みましょう。
参蘇飲は体力もつけてくれる漢方薬なので、風邪がなかなかすっきり良くならない時などにも大変重宝する漢方薬です。



妊娠中というのは、免疫力が下がり、何かと体の不調が出るものです。

これからの季節、何より怖いのはインフルエンザなどの風邪や、ノロウイルスなどによる胃腸炎。
万が一に備えて、桂枝湯と香蘇散を常備しておくといいですね!

妊娠中の漢方について他にも色々ご紹介しています。