症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2024/09/17 (火)

[中医学的に考えられる要因・対処法]

 
下記のどれかひとつ、というよりも、複数が絡み合って症状が現れる場合がほとんど。
気になる方は中医学の専門家に相談し、体質に合わせた漢方薬を飲むことが身体に優しく効果的です。

もちろん、漢方薬を飲むだけではなく、日頃からの食事や運動、休息、そして心の保ち方といった生活習慣を見直すことが重要なポイント!
ぜひ併せてご確認を。
◆ 予防・進行抑制のための養生
 
□ 腎虚(じんきょ)
加齢、慢性疾患による気の消耗などにより、脳の栄養が不足する。

認知症の主症状以外に、腰痛や耳鳴り・難聴、めまい、不眠、脱毛や歯の弱りなども現れやすい。
対処法
 生命エネルギーの源を蓄え、脳の栄養源にもなっている「腎」を補う。
 六味地黄丸、八味地黄丸、杞菊地黄丸など
 
□ 瘀血(おけつ)
脳に栄養を供給する血のめぐりが悪くなっている。頭痛やしびれなどを伴うことも。

めぐりが悪くなる主な原因は、気の不足、ストレスによる気のめぐりの低下、寒さによる血脈の収縮、動脈硬化や高血圧、高脂血症などの生活習慣病など。
対処法
 めぐりが悪くなっている原因を解消するとともに、脳の血流を回復する。
 桃核承気湯、当帰芍薬散など
 
□ 脾虚(ひきょ)
胃腸が弱かったり、慢性疾患や加齢により消耗している場合、脳に必要な栄養が不足する。

疲れやすい、風邪を引きやすい、食欲低下などを伴いやすい。
対処法
 胃腸が元気になるよう立て直すとともに、不足している栄養分を補う。
 六君子湯、補中益気湯、帰脾湯など
 
□ 痰湿(たんしつ)
体重・体脂肪の増加や高脂血症など、体内にドロドロした水分・脂肪分(痰湿)がたまることで、脳への血のめぐりが悪くなっている。

不眠やめまい、抑うつなどを伴うことも。
対処法
 体内にたまった痰湿を取り除くとともに、痰湿がたまる原因を解消し、脳の機能回復を助ける。
 半夏白朮天麻湯、温胆湯など
 
□ 肝鬱(かんうつ)
強く慢性的なストレスや不安感・焦燥感などにより気のめぐりが停滞し、脳への血のめぐりが悪くなっている。

不眠やめまい、怒りっぽい・イライラ感・憂鬱感などの精神症状などが現れやすい。
対処法
 気の滞りを解消するとともに、気のめぐりを調節する「肝」の働きを助ける。
 抑肝散、加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯、釣藤散など
 
 
 
 
 
[参考資料]
いかに弁証論治するか【続篇】 東洋学術出版社