症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2023/01/17 (火)

コントロールできなかった不安感が、「自分の力を信じる×漢方薬」で前向きに

ご来店時からソワソワされたご様子の30代女性のお客様。
詳しくお話を伺うと、2年前から休んでもとれない倦怠感、そして理由もなく不安が押し寄せてくるという症状でお悩みでした。

抗不安薬を使用しているが、改善はされない。
夕方以降が特に辛く、横になりたいが、一度横になると動けなくなるので、頑張って家事やお子様の相手をしている。
また最近では笑顔も出せなくなり、お子様にも強く当たってしまい自己嫌悪にも・・・。

とにかく不安(パニック)をとりたい、笑って過ごせるようになりたい、という切なる願いをお持ちだと感じました。
―心と身体が出すSOS…その原因は?―
これまでの経緯をお伺いすると、普段から3人のお子様を育てながらお仕事もこなされ、とてもお忙しい毎日。
そこにご家族の様々なトラブルにも見舞われ、それでもすべてをご自身で対処されてきたそうです。
とにかく責任感が強く、ここ数年はがむしゃらに生きてきたとのこと。

できないことが余計に自分自身を追い詰め、さらに頑張り過ぎてしまい、益々疲れてくるという悪循環に陥っている。
ただそれを自覚しつつも、手を抜けない・・・と、とても苦しまれていました。

体力・気力もあり、またこまめに回復ができていれば、やりきることもできたかもしれません。
しかしこのお客様の場合は、消耗ばかりの日々を過ごされていたので、遂に心身ともにバランスを保てなくなっていました。
 
漢方的な見解
自覚症状は、頭痛やかみしめ、酷い肩こり、逆流性食道炎、動悸、腹痛、生理不順、不眠傾向など。

漢方的な概念のひとつ「気・血・水」でお身体の状態を紐解くと、

●気の暴走(気滞と気逆)によって、気が益々休まらなくなり精神的に不安定感を生んでいる
●同時に気が消耗(気虚)し、強い倦怠感に繋がっている
●気を落ち着ける役割がある血も生みづらくなっている

という状況でした。

また非常に治りにくい状態になっているのは、明らかに自然治癒力の低下がある証です。

この場合の一番良い方法は、
●自然治癒力自体をしっかりつけて、ご自身で良くなる力を取り戻していくこと
●気のバランスを整えること
●ご自身でも余計な気の張りをとれるような習慣を身に着けることです。
―良くするのは、自分自身!―
ご自身のお身体に自信を無くされていましたので、藁にもすがるお気持ちで漢方薬を頼ってご来店下さっていたことがお話から伺えました。

もちろん漢方薬は上手に使用すれば、症状の改善や体質改善にとても役立ちます。

さらに漢方に加えて、ご自身で良くなる力を強く信じることも、良くなる上ではとても大切です。

気持ちが前向きになれば、「気」の流れが良くなり、それにつられて「血」や「水」も巡りがよくなり、実際にグッと早く良くなりやすいです。

漢方をしっかり服用すること、そして「良くなる!良くなっている!」ということを、いつも強く思うようにすることを約束して、スタートしていただきました。
「自分の力を信じる×漢方薬」の相乗効果
お約束通りに頑張られた甲斐もあり、スタートから5日目には眠りが深くなり、朝の気だるさが減ったと実感されていました。

7日目には夕方でも体力が持つようになり、お子様との時間もとれるようになられ、とても喜ばれていました。

20日後には、動悸はまだするけれど、パニックにはならなくなり、胃腸の調子も整い、気持ちがとても楽になったそうです。
笑顔も増えてきたという話も聞けて、一緒に喜び合えました。

2カ月後には、早くもエチゾラムを服用しなくても体調を保てるようになり、気持ちにも余裕がでてきて、「まぁ、いいか。」と完璧でない自分自身をゆるせるようにも。
少しずつ自分で自分をよくできる力もついてきたと、私も嬉しく伺っておりました。

その後は、基本的には調子が良いご様子。
時々不安感が出てくることはありましたが、その都度、漢方だけではなく、気持ちの持ち方を確認し合いました。
―自分の力に自信を持てるようになり、心身が安定―
1年が過ぎる頃には、「大丈夫!大丈夫!」と自分自身でも強く思うことと、「絶好調でなくてもいいじゃない。」とも思えるようになっていかれました。
そこからは、体調の波はあっても心は安定するようになり、落ち着いて自然に良くなるのを待てるようになっていました。

ここまで自分の心を上手にコントロールできるようになると、本当に体調は安定しますし、一時的に崩れても回復が早いです。

その頃には、ご家族とも楽しく有意義な時間を過ごせるようになり、お仕事にもいつも以上に前向きに臨めるようになっていました。
また普段の表情が本当に晴れやかになられて、本来の姿で過ごせていることは一目で伝わるほどでした。


その後は漢方を順調に減らすことができ、今は満足のいく状態。
でも年齢的な衰えも感じるとのことで、今の良い状態を維持する目的で、予防の漢方のみをマイペースに続けられています。

これからも自分自身の力を信じてお過ごしいただけますように。
応援しております!