症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2021/12/09 (木)

【おせち料理】

えび
性味 甘・鹹/温
帰経 肝・腎
主な働き 腎(生命力の源)を丈夫にする。陰液(身体の潤い)を補い、めまいやふるえを鎮める。身体を温める。
「腰が曲がるまで長生きできるように」という長寿の願いが込められていますが、薬膳的にみても生命力の源である「腎」を補う効果があるとされています。

「腎」は足腰の力や泌尿器・生殖機能を司っており、成長・発育・加齢との関わりが深いところ。
家族みんなで分け合っていただきたいですね。
 
田作り(イワシ)
性味 甘/温
帰経 脾・肝・腎
主な働き 気を補い、血の巡りをよくする。目の疲れを回復する。
カルシウムやビタミンD(カルシウムの吸収に必要なビタミン)が豊富で、DHA・EPAも摂れると有名なイワシ。
薬膳でも、骨髄や脳髄の働きに関わる「腎」や、血の貯蔵と巡りに関わる「肝」を助けるとされています。

おせちでは「五穀豊穣」を願いますが、体内の畑ともいえる「脾」も補うので、これまた繋がりがあるなと感じてしまいます。
 
黒豆
性味 甘/平
帰経 肝・腎・脾・胃
主な働き 陰液(身体の潤い)や血(栄養分)を養う。血行をよくし、むくみを解消する。脾胃(胃腸)の働きを高め、余分な水分を排出する。
「まめまめしく働く」「まめに暮らす」ためには、元気に動いたり細やかに気を配れるよう栄養源が必要。
元気の貯蔵庫「腎」や生産畑である「脾」、気を巡らせる「肝」を補う黒豆を摂ることは、理にかなっていますね。

お箸で一粒ずつ、大事にいただきましょう。
 
昆布巻き(昆布)
性味 寒/鹹
帰経 肝・脾・腎
主な働き 身体にこもった余分な熱を冷まし、水分を排出する。しこり、腫れ物を軟らかく小さくする。
「喜ぶ」「養老昆布(よろこぶ)」ともかけて、お祝い以外に不老長寿の意味も込められた昆布巻き。

昆布は高血圧や高コレステロール、血管の硬化にもよいとされており、中高年層の方は特に、健康長寿のために摂りたい食材かもしれません。
 
伊達巻(卵)
性味 【白身】甘/涼 【黄身】甘/平
帰経 心・腎
主な働き 陰液(身体の潤い)や血(栄養分)を養う。【白身】身体にこもった熱を冷まし余分な水分を排出する。【黄身】脾(胃腸)の働きを回復する。
「知識が豊富になるように」との意味が込められた伊達巻。
主材料の卵は、漢方で精神・意識・思考を司る「心」や脳髄の働きに関わる「腎」を補うとされています。

学生の方や資格試験などで勉強中の方は、ぜひ願いを込めてお召し上がりください。
 
紅白なます(大根)
性味 辛(生)・甘(加熱)/涼
帰経 肺・胃
主な働き 消化を促し、痰を取り除く。気の巡りをよくし、胸をすっきりさせる。のどの渇きや腫れ、痛みを解消する。
紅白の水引をイメージし平和を願う縁起物とされていますが、お口直しの役割もあるとか。
たしかに大根や調味料で使われるお酢には、消化を助ける働きがあります。
ご馳走の中休みにいただきましょう。

ちなみに人参には「肝」の血を補うことで目の機能を助ける働きや、「脾」の働きを高める働きがあります。