仕組みと特徴
「湿がなければ下痢はない」といわれるほどに、梅雨の湿気は下痢を引き起こしやすいです。
もともと胃腸の弱い方はとくに下痢や軟便になり長引きやすいですが、胃腸が弱っている自覚の無い方でも、気候の影響や飲食習慣と合わせた影響により、下痢や軟便になりやすいです。
もともと胃腸が弱い場合は、軟便・水様性の便・便秘など日によって変化しやすく、消化不良の便、食欲低下、お腹の張り、疲労感も伴います。
一時的な冷えや湿気により胃腸の働きが弱り下す場合、粘りのない水様性の便で、においも少なく、腹痛や腹鳴(お腹がゴロゴロ鳴る)、食欲不振、お腹が張った感じなどを伴います。排便後は比較的すっきりします。
逆に夏のような蒸し暑さで生まれる過剰な熱と湿気によっても、胃腸の働きに乱れが起こり下します。粘りのあるにおいの強い便で、トイレに間に合わないくらい急に始まる激しい下痢となることも。腹痛や肛門の灼熱感、熱っぽさやイライラ、口の渇きなどを伴うこともあります。
対処法
ツボ
ツボを押すときは「気持ちいい」と感じるくらいの強さで、深呼吸をしながらゆっくり押してあげましょう。なでたり、もむように刺激してもよいです。やりすぎず、ほどほどに。
・陰陵泉(いんりょうせん)
ひざ下にあるくぼみから指4本下がったところで、骨の際の部分。
余分な水分を排出します。
おすすめのツボの解説はこちら
よく使われる漢方薬
・人参湯(にんじんとう)
胃腸が弱く食欲がない、胃がもたれる、腹痛、体力がない、冷え性などの症状がある方の下痢に使われる処方です。
お腹を温めて胃腸のはたらきを高めることで、症状を改善していきます。
・香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
もともと胃腸のはたらきが弱く疲れやすく、湿気が停滞することで下痢・軟便や胸~腹部の閉塞感、食欲低下などがみられる場合に使われる処方です。
消化がうまくできず余分な水分がたまり、気の流れが悪くなっている状態です。
湿気を取り除きながら気のめぐりを整え、胃腸を元気にすることで症状を改善していきます。
・藿香正気散(かっこうしょうきさん)
夏カゼや胃腸型のカゼ、クーラー病などに用いられることも多い処方です。
胃腸にたまった湿気を取り除き、気の乱れを整え、嘔吐・下痢のような症状を改善していきます。
・胃苓湯(いれいとう)
胃腸は弱くないが、食生活の乱れや多湿な環境のために胃腸に湿気がたまり、下痢・軟便やお腹の張り、腹痛などがみられる場合に使われる処方です。食あたりや暑気あたりに使われることもあります。
胃腸の余分な水分を排出して、症状を改善していきます。
上記の漢方薬はほんの一例です。
症状と体質に合わせて選ぶことが大切ですので、服用をご希望の方はお気軽に相談員までご相談くださいませ。