上半身は暑いのに、下半身は冷えているという方は漢方の考え方では「上熱下寒(じょうねつげかん)」と言います。
上半身にばかり熱が溜まって下半身に熱が巡っていかないので、顔からは汗がダラダラ出るのに下半身はひどく冷えているという状態が起こります。
この場合、単に温めるだけでなく、お風呂のように「かき混ぜる」ことが大切です。
漢方薬の中には温める作用とかき混ぜる作用を持ち合わせているものがあります。
温経湯(うんけいとう)〜不妊症から不正出血まで大活躍!〜
温経湯と言えば、不妊症で一躍有名になった漢方ですが、散寒剤という冷えを取る漢方薬です。
温経湯が合う体質の特徴は、
①上熱下寒(顔はのぼせるが、足は冷える)
②唇の乾燥、口渇、手のひらのほてりがある
③顔色はくすんで黒っぽい
といったタイプで、冷え症をはじめ、生理痛、不正出血、生理がダラダラ続く、おりものが多い、など婦人科には大変応用幅の広い漢方薬です。
冷え症といっても、お風呂の状態。
上の方は熱いけど、下の方が冷たい。
その場合は、「温めること+かき混ぜること」が大切で、温経湯はまさにそういう漢方です。
中身を見てみると、
桂皮・生姜・呉茱萸・川芎・当帰・芍薬・阿膠・麦門冬・人参・炙甘草・半夏・牡丹皮
で、魅力的な生薬のオンパレードです!
麦門冬(体を潤す)、阿膠(体に栄養を与え、漏れ出る血を止める)あたりは、冷え症に使う漢方薬の中でも特徴的なものではないでしょうか。
温経湯であまりよくならない場合
胃腸が虚弱で、頭痛・生理痛が酷い場合は五積散(ごしゃくさん)をおすすめします。
流産や産後の消耗時の冷えのぼせには芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)をおすすめします。
冷え症にも様々なタイプがあり、やはり自分の体質に合った漢方薬を飲むことが大切です。他の冷え症のタイプも参考にしてみてください。