症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2020/12/11 (金)

生理周期が長い!稀発月経の漢方

生理周期が長いという場合、無月経と違って全く生理がないわけではないため放置する方が多いようです。
しかしどんな病気でも、慢性化すればするほどこじれてしまいます。

漢方は体質を改善し、自分できちんと排卵し、定期的に生理が来るようにしていきます。
また根本的な原因を解決しますので、稀発月経が解消されるだけでなく、生理痛や冷え性、肌荒れ、ストレスによる胃腸の不調などその他のお悩みも同時に解消されるのが漢方の魅力です。
あなたはどのタイプ?症状チェック
冷えタイプ
□ 経血量が少ない
経血の色は暗く血塊が混じる
□ 下腹部が冷えて痛く、痛みは温めると軽減する

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虚弱タイプ
□ 経血量が少ない
経血の色は淡く、血塊はなくさらっとしている
□ 下腹部痛は軽度、もしくは引きつるような痛み。痛みは温めたりさすったりすると軽減する
□ 腰がだるく脱力感がある

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ストレスタイプ
□ 経血量が少ない
経血の色は暗く、小さな血塊が混じる
□ 下腹部が張る
□ 生理時に胸が張って痛む

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卵巣摘出後の生理不順が漢方で整った例
お客様背景
45歳女性のお客様

【これまでの経過】
40歳の時に卵巣を片方摘出。
卵巣摘出後、経血量が減り、2年前から生理が来ない月が出始めた。
病院でホルモン剤を出されるも、だらだら続き、やめると生理がこない。
1年前からホルモン剤をやめ、最近毎月生理が来るようになったが、量が少ない。

【体質・生活面】
✔︎貧血
✔︎皮膚の乾燥
✔︎肩首背中のこり
✔︎下半身の冷え
✔︎夕方足のむくみ
✔︎膨満感
✔︎便秘
✔︎血塊あり
✔︎仕事がハードでストレス多い
✔︎体がとても疲れている
 
漢方的解説
卵巣は2つあり、排卵は通常1つなので、毎月どちらかの卵巣から排卵されます。
一説によると、若いころはそれがだいたい左右交互のことが多いが、年齢を重ねるとランダムになると言われています。

卵巣を一つとっても、毎月残りの1つの卵巣から排卵されれば、毎月生理があります。
もちろん、2つあったものが1つになり、その分休むことがないため負担がかかるのは否めません。
そうすることで卵巣機能が落ちることもありますし、年齢と共に機能が低下するのも自然な流れです。

その一方、卵巣機能というのは非常に複雑です。
卵巣からは2種類のホルモンが出ますが、その司令塔は脳の視床下部で、さらにその仲介を脳下垂体が担っています。
脳の視床下部はストレスの影響を大変受けやすく、ストレスによる生理不順はこの視床下部の問題です。


今回の方の大きな問題は2つ。
(1)非常にストレスの強い生活をしている
上記で解説した「ストレスタイプ」。

ストレスにより、漢方で体全体のエネルギーと考える「気」の巡りが悪くなり、肩・首・背中のこり、膨満感、便秘などが出ている状態。
気を消耗して、大変疲れやすくもなっていました。
(2)卵巣を1つ摘出している
上記で解説した「虚弱タイプ」。

今回の方は生まれつきや胃腸が弱いということではなく、元々2つあったものを摘出していますので、どうしても卵巣機能が落ちます。
そのため、卵巣機能自体を高める必要があります。

下半身の冷えや夕方のむくみも、漢方的には「腎」の衰えで起きます。
腎とは生殖機能・泌尿器全般のことで、年齢と共に消耗します。
そこに卵巣を一つ摘出していますので、どうしても腎の消耗は大きくなっている状態です。
 
経過
(1)と(2)の改善のための漢方の煎じを始められ、次の日に生理が来て、早速その量が多くビックリされていました。
さらに、今までは体がズッシリ重たく感じていたのが取れてきて、体調が良くなっていくのを実感されたそうです。

その後は生理も安定され、順調に続いています。
 
ホルモン剤の弊害について
生理不順で病院に行けば、ホルモン剤が出されます。
無月経が長く続くと子宮が委縮してしまうため、緊急的に生理を起こさせることも時には必要です。

一方で女性ホルモン剤は副作用もあり、特に血栓ができやすい=血がドロドロになりやすいという弊害があります。

今回の方も卵巣を摘出しなければならなかったことや、血塊があるため、根本的には瘀血(おけつ)=血の巡りが悪い体質です。

ホルモン剤を服用することは瘀血体質に拍車をかけることになりますので、ホルモン剤をやめたことは賢明な選択だったと思います。

ホルモン剤が手放せない方にはぜひ、根本的な体質改善の漢方薬をおすすめします。