実りの秋、新米が出回る季節です。
日本人の主食である粳米(うるちまい)は、漢方薬に使われる生薬の一つ。
毎日食べているものが、実は「くすり」でもあるとは面白いですね。
生薬として使うのは、白米ではなく、精米する前のもの、すなわち、玄米です。
玄米は、生薬名を粳米(こうべい)といいます。
■粳米の効能
○補津 ~ 水分を補う ~
乾燥に弱い粘膜に、潤いをもたらします。
胃腸を潤すことで、口渇を除きます。
○養胃建脾 ~ 胃腸の力を養う ~
玄米を噛むほどに感じられる甘味は、胃腸の働きを高める効果があります。
胃腸が整うと、体を作る為の栄養をしっかり取り込み、元気をつけてくれます。
消化不良の下痢を、止める働きもあります。
■粳米を含む漢方処方
・麦門冬湯・・・喉の乾燥、空咳、口角炎などに。
・白虎湯、白虎加人参湯・・・熱がりで口の渇きが強く、水分を大量に飲み、汗を沢山かくタイプの人に。
■玄米食のすすめ
漢方薬として、粳米を煎じたエキスを飲むのも良いですが、玄米は、主食としても理想のものです。
精米する過程で除かれる糠や胚芽には、ビタミン、ミネラル、たんぱく質、食物繊維など、体を作る為の栄養素がバランス良く含まれます。
何より、白米にはない生命力も秘めています。
ただ、玄米は消化しにくいので、よく噛んで食べましょう。お子さまや胃腸が弱い人は、白米に混ぜて炊くと、消化しやすくなります。
■冷え体質には黒煎玄米
秋から冬に向かって、一気に冷え込む時期。
寒さに負けない身体づくりにも、玄米が役立ちます。
体が冷えやすい方におすすめなのが、玄米を黒くなるまでじっくり炒った“黒煎玄米”です。
黒煎玄米を煮出して、お茶代わりに飲むと、体を温めます。
さらに、玄米の持つ滋養の力と解毒の力が高まっており、免疫力、代謝力、抗酸化、抗炎症など、体の力を引き出してくれます。
黒煎玄米なら、胃腸が弱っている人でも、大丈夫です。
玄米の力を上手に取り入れて、元気な体づくりをしていきましょう♪