日本と菊の花
天皇家のご紋としても利用されている菊花。日本のパスポートの表紙にも使われたり、50円玉に描かれていたりと、菊の花は日本人には古くからなじみが深い花のひとつですね。「長く飲み続ければ、老化を遅らせる」と言われる菊花。目で癒されて美容と健康にも優れている菊花は、やはり風格ある、ありがたい花だと改めて教えられます。
菊花の効能
菊花は中国では2000年以上前から薬用として栽培されてきました。日本には奈良時代末期に中国から伝来し、天皇や貴族などを中心に薬用として用いられてきました。食用として利用されたり、お酒や菊花茶としても飲まれています。頭痛を抑えるために、枕の中に菊花をつめる風習もあったそうです。
利尿作用や抗菌作用・解熱効果・高血圧予防・夏バテ解消など多くの効果がありますが、特に眼精疲労に効果が高いと言われています。
黄菊花(抗菊花)・白菊花・野菊花
生薬としての菊花は、黄菊花(抗菊花)・白菊花・野菊花などがあり、それぞれに少しずつ効能が違います。
黄菊花(抗菊花)は、味が苦く、熱を発散させるのにすぐれています。風邪を引いた時の頭痛やのどの痛みなどに最適です。
白菊花は、味が甘く、気を鎮め、熱を冷ますのにすぐれています。体の上のほうに出る症状、めまいやふらつき、目の充血などに最適です。
野菊花は、味が甘く、解毒作用にすぐれています。化膿性の皮膚炎などに最適です。
菊花を使った漢方薬
菊花を使った漢方薬には、清上ケン痛湯・杞菊地黄丸・釣藤散などがあります。
清上ケン痛湯は、頭痛・神経痛・顔面痛などの症候に用いられます。
杞菊地黄丸は、視力減退や目のかすみなどの症候に、熟地黄・山茱萸・枸杞子などと配合されています。
釣藤散は、めまい・ふらつきなどに、釣藤鈎などと配合されています。