5つの味
五味子はマツブサ科チョウセンゴミシの成熟した果実を乾燥させたものです。
名前の通り、「5つの味を持つ実」です。5つの味とは酸・苦・甘・辛・鹹(塩辛い)です。
■五味
味は大きく5つに分けて捉えることができ、どれを持つかは生薬の性質に関連します。
また、それぞれ対応する五臓があります。特定の味を欲する場合、対応する五臓に負担がかかっている可能性が高いです。
・酸味:収斂・固渋 ;肝
・苦味:清熱・燥湿・降逆 ;心
・甘味:滋補・緩和 ;脾
・辛味:発汗・行気 ;肺
・鹹味:軟堅・散結・瀉下 ;腎
■五味子の性質
五味子は全ての性味を持ち、五臓全てに働くことでバランスを整えるように働く上薬です。
ただ、全てに働くといっても強弱があり、性味の中で一番強いのは酸味です。
五味子の性質として主要なのは収斂・固渋作用で、鼻水や咳をおさめ、汗や便などが漏れ出るのを留めるように働きます。
それに加え、気や潤いを補う働きを持つため、乾燥に弱い肺系統の症状や、汗の出過ぎで体の水分が不足してしまった時、体内のものを留める気力もないような虚した状態などに使います。
■五味子を使う漢方処方
呼吸器系の症状に使われる 小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯、清肺湯
夏バテに使われる 清暑益気湯
気力や体力がない虚弱な体質の方に使われる 人参養栄湯などがあります。
■五味子茶
チョウセンゴミシの原産地である韓国では、五味子茶(オミジャチャ)として昔から飲まれています。
五味子をお湯や水に浸しておくだけで、出来上がり。水出しするときれいなピンク色になって、見ためも華やかです。
栄養面ではビタミンCやリンゴ酸が豊富なため、美肌や疲労回復に良いお茶です。
ただ、単味のお茶なので、五味子の持つ酸味が際立ち、とても酸っぱいです。
汗をよくかいた時や鼻水が出る時、ストレスでイライラする時など、身体が酸味を欲する状態の時には、いつも以上に美味しく飲めるかもしれません。