恐るべし「痰湿」
中医学では、人間の体を気・血・津液のバランスで考えます。
そのどれかが足りなかったり、多すぎたり、巡りすぎたり、滞ったりと、バランスを崩した時に私たちは体の不調を生じるわけです。
ご存知ですか?「痰湿」
気血津液でいうと、「痰湿」は「津液」の代謝異常によってできる病的産物です。津液とは体の中の水分のことで、水の代謝が正常であれば、さらさらで綺麗な水が過不足なく全身くまなく巡りますが、代謝がうまくいかず量の過不足を生じ停滞すると、次第に澱んで濁り、有害な物質へと変化してしまいます。それが「痰湿」です。
「痰湿」ができる原因の一番は飲食物
体内の水液は、ほぼ飲食物からの水に由来するので、やはり摂取する飲食物の影響は大です。
特に、甘い物、ねっとりして味の濃いもの、油っぽく脂肪分が多いものの食べすぎは、「痰湿」の生成に直接つながります。
そのわかりやすい例が、コレステロールや中性脂肪などです。
現代の飽食の時代では、あらゆる病気の根底に「痰湿」が隠れているのではないかと感じます。
飲食の不摂生で生じる「痰湿」が引き起こす症状には、
肝・胆では、頭痛、イライラ、耳鳴り、口苦、黄疸、関節痛、黄色帯下
心・小腸では、動悸、不眠、精神異常、てんかん発作
脾・胃では、食欲不振、悪心・嘔吐、腹満、身体が重い、口粘る、排便がすっきりしない
肺・大腸では、咳、粘痰、胸苦しい、皮膚の炎症・化膿・強いかゆみ、血便、激しい下痢
腎・膀胱では、排尿困難、排尿痛、結石、むくみ
などがあります。
「痰湿」の恐いところ
それ自体が病的産物というだけでなく、直接的、間接的に全身いたるところの臓腑や組織に悪さをします(気血津液の運行を阻害します)。
しかも、その澱んで濁ったものは、ベトベト、ドロドロしていて、取り除きたくてもなかなか簡単には取れません。
もちろん漢方で、「痰湿」を取り除いていきますが、私たちは毎日食事をします。そして、その食べたもので私たちの身体は作られます。
いいことも悪いことも、口から身体に取り入れたものはゆっくりと確実に結果が表れてきます。
日々の「食養生」大切ですね。