「漢方薬」は絶妙なバランスと調和
1つの生薬の量を増やすだけで、別の漢方薬になるということからもその配合の妙がうかがえます。
主薬と、その効果を助けるもの、毒性をおさえるもの、いろいろな生薬を調和するもの、絶妙な配合が行われていて、それが何千年の歴史の中で培われた経験によって、磨かれているのが、今の漢方薬です。
例えば半夏という生薬には、ほとんど生姜が配合されています。半夏だけだとピリピリとした刺激があるのを、生姜がおさえてくれるのです。本当に上手く配合されています。
西洋薬との飲み合わせ
西洋薬との飲み合わせで注意したいのは、生薬の成分が西洋薬と重複し、量が増えてしまう時です。
たとえば、麻黄に含まれるエフェドリンは、咳を静めたり、気管支を拡張する効果があり、病院で処方されるほか、市販の風邪薬に良く使われています。麻黄が入っている漢方薬とエフェドリンとの服用は注意が必要です。
※エフェドリンは中枢興奮作用があるので、スポーツ競技の大会時での服用は禁止されています。エフェドリン配合の風邪薬だけでなく、麻黄配合の漢方薬(葛根湯、小青竜湯など)は服用しないようにしましょう。
また、大黄という生薬は瀉下剤でもあるので、センナなどでできた便秘薬と飲むと作用が強すぎる恐れがあります。
漢方生薬の飲み合わせ
漢方生薬の配合で禁忌と言われるものは①混ぜることにより、相手の薬物の効力が減弱し、無力にさせると思われていた19種の薬物(「十九畏」) ②混ぜることにより毒性が強くなり副作用が出やすくなると思われていた18種の薬物(「十八反」)があります。
十九畏
混ぜると効力が減弱すると言われる組み合わせでよくあるのは「丁香(別名:丁子、クローブ)」と「ウコン(ターメリック)」。現実的には某有名薬酒にも配合されているぐらいなので、あまり気にする必要ないと思います。インド人はカレーのスパイスとしてどちらも併用しまくりです!
また、生薬同士ではありませんが、併用が望ましくない飲食物との組み合わせもあります。例えば「地黄・何首烏と葱」「茯苓と酢」「蜂蜜と生の葱」など。もちろん病気の時には生もの・冷たいもの・消化の悪いものは避けるべきですし、高熱の時には油分を避けるというのは、皆さんもご存じだと思います。
十八反
混ぜると毒性が強くなり副作用が出やすくなるものの組み合わせで現実的に注意が必要なのは「附子・烏頭と半夏・貝母」があります。
附子配合の八味地黄丸、牛車腎気丸、桂枝加朮附湯などと半夏や貝母配合の漢方薬は飲み合わせが悪いということになります。
※半夏配合の代表的な漢方薬:六君子湯、小柴胡湯、大柴胡湯、小青竜湯、温経湯、半夏白朮天麻湯
※貝母配合の漢方薬:滋陰至宝湯、清肺湯
今まで飲んでいる薬に漢方薬を一緒に飲んでもいいかどうかや今まで体質改善で飲んでいた漢方薬に臨時で風邪の漢方薬を飲みたいとか、風邪薬や痛み止めを併用したいなど、気になる事は、もらったところに聞いてみましょう。安全に服用し、上手に漢方薬を使って、いつまでも健康でいたいですね。