症状別 漢方の教え

KAMPO KNOWLEDGE
更新日:2019/12/24 (火)

東洋哲学「五行説」を人間関係に例えると

東洋哲学「五行説」

中国古代哲学で陰陽五行説という考え方がありますが、これがとても興味深い考え方で私は大好きです。陰陽五行説は陰陽論と五行説に分かれますが、今日はその五行説の方を。

五行説とは、中国古代哲学であり、宇宙に存在するすべての物事・事象を「木・火・土・金・水」の五行に分類し、個々の性質や相互の関係を把握できる考え方といわれるものです。世の中の法則ともいえる考え方で、今から2000年以上前に考え出されたそうです。この考えのすごい所は、「すべての物事・事象」について成り立つという所だと思います。

<木>

樹木のように屈曲・伸長し、上・外方向へ伸びる。昇長、生発、条達などの性質をもつ事物・事象を木に帰属させる。

<火>

炎熱のように上方へ向かう。温熱、昇騰の性質をもつ事物・事象を火に帰属させる。

<土>

大地のように万物の母として特性を持つ。生化、承載、受納の性質を持つ事物・事象を土に帰属させる。

<金>

金属のように重く沈み粛刹する特性を持ち変革、改革の意味も備えている。粛降、変革、収斂の性質をもつ事物・事象を金に帰属させる。

<水>

水のように寒冷で下行・滋潤する特性を持つ。滋潤、寒冷、下向の性質を持つ事物・事象を水に帰属させる。

相互関係

木は火をさらに燃やし、火は炭を生み土を発生させる、土は年月を経て金(属)を作る、金には水滴が集まる、水は木を成長させる。このように5つの要素が、相生によって促進する関係にあります。

また一方で、木は土から栄養を吸収するので土を弱らせ、火は金属を溶かし、土は水を吸収し、金属は木を切り倒し、水は火を消します。このように相克によって抑制する関係でもあります。

このように自然界はこれらの5つの要因が促進し合いつつ、同時に抑制し合って、お互いが一番成長発展するような絶妙なバランスを維持しています。

人間関係に当てはめる(あくまで私見)

少し気にしすぎな面もあるが、一本筋が通っていて沢山の人に気遣いができる「木」さん。

熱くなりやすく猪突猛進型で憎めない性格、単純だがやる気になった時は凄い力を発揮する「火」さん。

皆を優しく見守るタイプ、何を言っても受け止めてくれるので相談されやすい。目立たないが実は縁の下の力持ちの「土」さん。

正義感が強く白か黒かがいつもはっきりしていて、向上心が高くいつも自分の意見を素直に言える「金」さん。

いつも冷静に物事を見ていて判断力に優れている為、皆に一目置かれている「水」さん。

この5人にも促進し合い抑制し合う関係が成り立つはずです。つまりそれぞれが長所を伸ばしつつ弱点を補い合い、また励まし合い指摘し合える関係が実現し、皆が成長できる最高のチームができるかもしれない…。5名チームがいい!?など勝手に想像しています。皆さんも、あの人は「木」、あの人は「金」だな…と考えてみるのも面白いかもしれません。

誰一人として無駄な人はいない

私達の誰もが、程度の差はあるにしても、「木・火・土・金・水」に当てはまるとすると、例えば、今苦手だと思っているあの人もきっと私達の成長を助けてくれたり、きっと間接的に助けてくれているという事。決して一人では何事も成しえないという事。誰一人として無駄な人はいないという事。もしかすると自分で自分の性格が嫌いという人が居たとしても、そのおかげできっと誰かの役に立てているということ。一人で全ての役割はできない。それぞれの役割があるという事。

この五行説や今回は触れませんでしたが陰陽論も含めて、日常で活かせば本当に素晴らしさが実感できると思います。考えれば考えるほど、色々な事に納得でき、また何事にも動じない強い心と深い感謝の気持ちが身につくように思います。まだまだできていない自分自身を恥じつつ…僭越ながら東洋哲学のご紹介でした。