木が枯れた根本的な原因に目を向ける
自律神経失調症、うつ病、パニック障害、不安神経症、更年期障害など、
心の病と呼ばれるもので悩まれている方は、日本で益々増えていると言われています。
現代社会が原因ということもあるかもしれませんが、
抗うつ薬の普及によってうつ病と診断される人が増えていることも背景にあるようです。
薬ありきで病気が増えている現実。
これも現代社会の大きな問題の一つですね。
そのせいもあり、日本では一人の患者さんに対して5種類以上の抗鬱剤などを使用している例も少なくなく、
多種類を一度に使い過ぎている問題も指摘されています。
この状態を自然に例えると・・・
森の木が一本枯れ始めてしまいました。
それを見つけ、ある人は水が足りないと思い、水をあげました。
またある人は栄養が足りないだろうかと肥料をあげました。
またある人は、即効性があると思い、植物ホルモンを土に注入しました。
そして、少し立て直したかに見えましたが、そうこうしている内に、今度は隣の木が枯れ始めてきました。
そして、また同じように水や肥料やホルモンを与え続けました。
また隣、そのまた隣の木、今度は離れた場所の木も同じように枯れ始めました。
そして、栄養を与え忘れた木は急激に弱っていきます。
森の見た目も良くないので、弱った木は切り倒した方がよいと考える人も出てきました。
このままでは埒があきません。一体何が原因なのか…。
その土地の土壌なのか、雨水なのか、空気なのか、生態系なのか…。
そして、そうだとしたら、それらを悪くしているのは一体何なのか…。
気がついた時には、森は肥料まみれ、ホルモンまみれで元の土壌からはかけ離れてしまい、
与え続けなければ、木も成長できなくなってしまっていました…。
これは例え話ですが、病気に対しても同じことが言えると思います。
ついつい症状ばかりに目が行き、それからできるだけ簡単な方法で逃れようとしてしまうのは人間の性かもしれません。
どうしても苦しい時はできるだけ早く苦しみから解放される方法も必要ですが、
それだけに目を向けていくと先ほどの森の話のようになりかねません。
では、どうするのがよいのでしょうか?
やはり良くしていくには、時間はかかりますが、
少しずつでも根本の原因に手を付けていかないわけにはいきません。
漢方の考えでは、病気の根本の5大原因として挙げられているのが、
「心(精神状態)」
「食(食事のバランスと量)」
「動(運動量)」
「休(休養の量)」
「環(空気・水、人間関係)」 です。
なかでも一番大切なのは「心」です。
なぜなら「心」が不安定だと、食事も運動も休養も人間環境も不安定になってしまうからです。
また「心」は気血水の気に直接かかわるので、気の流れ次第で血や水の巡りもダイレクトに影響します。
そして、「心」の状態は、病気を自分で治す力(自然治癒力)の発揮に一番影響するものでもあります。
そして、病気の治し方の原則は、具体的には次の①~⑤を同時並行で進めていく事です。
- ①心を整える
- ②食・動・休・環を整える
- ③自分自身で病気を治していく力(自然治癒力)を高める
- ④症状がでている原因になっている体のバランスを整える。
- ⑤どうしてもきつい時は対症療法も必要
具体的な方法としては、
- ①は、本、自己啓発、メンター、カウンセリング、気を整えることなどが相当します。
- ②は、食事に関しては玄米菜食を中心に昔ながらの日本食が相当します。呼吸法などもあります。
- ③は、漢方で言えば、霊芝、冬虫夏草、クコの実、など上薬と言われるものが相当します。
- ④は、漢方薬や鍼灸などが相当します。
- ⑤に、西洋薬や、外科的な手術、整体、効き目が早い漢方薬などが相当します。
この方法しかないという訳ではありませんが、①~⑤の視点を持って、
焦らず少しずつ進めていく事が本当の意味で良くなる事に繋がると思います。
そして、心については、是非「今」を出発点にしていくと良いと思います。
過去の自分には戻れません。「今」から新しい自分をつくっていくイメージで、
できるところから、できるだけを続けていって欲しいと思います。
これまでも良くなっていった人をたくさん見てきました。
自分の病気は自分でしか治せませんし、自分次第で良くできます。
そして、治す力はもともと備わっています。
まずは心を整えて、その力を発揮させていきましょう!